BACK IN THE GAMADELIC!!~DATAEAST ARRANGE ALBUM~
チェルノブ、ファイターズヒストリー
データイーストはなんかとんがった印象を与えた作品。
(トリオ・ザ・パンチなんてすごいのがあったりしましたが)
全然売れなくて基盤が倉庫に大量にあるとライブで言っていたフラワーバスターズ
DECOはいろいろとネタが多い会社なのです。
サウンドもあれこれやっててコミカルだったり重厚なギターサウンドだったり。
そんなDECOサウンドに久しぶりに浸らせてもらえます。
どの曲もオススメですが、
6. VAPOR TRAIL
7. ROHGA
という特にこれぞゲーマデリックな曲に酔いしれてもらいたいです。
当時のゲームサウンドの力強さを感じ取っていただけると思います。
ファンなら間違いなく押さえてほしい一品。
データイースト レトロゲームミュージックコレクション
データイースト、通称「デコ」はもっぱらその特殊なセンスのグラフィックや演出で知られていますが、国産ビデオゲームの歴史にはかなり早い段階で姿を現した堂々たる古参メーカーです。残念ながら倒産の憂き目を見たものの、ビデオゲームの歴史の中には様々な意欲作を送り出したメーカーとして記憶されています。音楽はGMO、サイトロン、DATAMよりそれぞれアルバムが発売されており、サイトロン1500シリーズには多くのタイトルがラインナップされています。
さて、このアルバムのタイトルは、一通り既発音源でカバーされています。知名度の比較的高い「空牙」シリーズはそれぞれが単独のミニアルバムとしてリリースされていますし、「ダーウィン4078」をはじめとする進化系シューティングシリーズも「LEGEND OF GAME MUSIC」ボックスに「ダーウィン」および「SRD」は新録という形で再収録されており、そういう意味ではあまり新鮮味のあるチョイスとは言い難いように見えます。一枚に詰め込みすぎのようにも見えるかもしれません。
ですが、それでこのアルバムをスルーしてはいけません。持っているはずの音源から抜け落ちているものに、知っていると思っていた曲の本当の姿に不意に出会うかもしれません。そんな意外性がこのアルバムにはあります。
収録全タイトル中最もマイナーと思われる「アクトフェンサー」ですが、これが実に興味深い内容になっています。
まず、曲順がサイトロン版「GAME SOUND DECO G.S.M. DATAEAST 1」と違っていて、「BGM2」と「BGM3」の内容が入れ替わっています。これはまたもこのシリーズに散見されるミスでしょうか。いいえ、違います。サイトロン版の曲順が逆なのです。ゲーム中では2面で「GHOST AREA」が、3面で「CYBER BRAIN」が流れるのであり、使用順からいえば「GHOST AREA」がBGM2であるべきなのです。サイトロン版ライナーノーツの「アクトフェンサー」に関する記述と曲順は一貫しているので制作順ないし意図した順序はサイトロン版なのでしょうが、ゲーム通りではありません。
また、前述の「CYBER BRAIN」実は実機からはほとんどスネアの音が出ていません。ハイハットは時折鳴っているのですが通常リズムを刻むバスおよびスネアが鳴っていないのです。ですがサイトロン版ではしっかり鳴っています。これは何故でしょうか。サイトロン版ライナーで音源の発音数制限のことを作曲者の瀬川氏がぼやいていますが、サイトロン版は「本当はここまでやりたかった」バージョンなのでしょうか。今となってはわかりませんが、少なくともかつて聴いていたのは実機の音ではなかったのだ、ということです。
そして、エンディング「終焉」。サイトロン版ではおよそ1:02なのですが、このアルバムでは3:05!実は2ループ目以降は所々のフレーズが異なっており、今回収録された3ループが全長版だというわけです。
ただでさえゲームがマイナーな上、華々しい他のメーカーに比べればデコがマイナーであったため今までスルーされていたということなのでしょうか。いずれにせよ、今になってこういう音源が出ることは実に意義深いことだと言えます。
もちろんいつも通り、実機から鳴る音はリバーブもかかっていなければバランス調整もさほどされていません。しかし「アーケードという現場」を意識していたのは確実にこの音なのです。高音のビリビリ来る感触は、今もきっと強い印象を残すでしょう。「ウルフファング」における攻撃的な高音域は、1500版ではかなりまろやかにカットされていたのだとわかります。
「空牙」のオープニングデモ「NIGHTMARE-LAGNAROK-」の全長版は「LEGEND OF GAME MUSIC」ボックス2で初収録でしたが、あれが現在入手困難なことを考えれば実にリーズナブルです。「組曲『空牙』」の序曲とも言うべきものなので、お聴きになったことのない方は是非どうぞ。ちょっとした感動を覚えるはずです。
デコファンを自認していて、当時発売されていたものは全て購入していたので、このアルバムはいかにも魅力のない内容に僕には見えました。「どうせ全部持っているから」と高をくくっていました。
とんでもないことです。旧譜を持っていても買うべきです。まだデコファンであるのなら、アレンジが収録されていないことも、ライナーが素っ気ないことも買わない理由にはなりません。もし旧譜を持っていないのであれば――無論迷うことなんかありませんよね。