フランケンシュタインの花嫁 (ユニバーサル・セレクション2008年第5弾) 【初回生産限定】 [DVD]
死体から新たな生命を創り出すという驚異の実験に成功したフランケンシュタイン博士(コリン・クライブ)だったが、自分の創り出した「怪物」に殺され、怪物もまた、村人たちから追いつめられ、燃え盛る風車小屋の中で、命を落としたかに見えた。しかし、二人とも奇蹟的に命をとりとめ、怪物は再び逃亡する身に。一方、フランケンシュタイン博士のもとには、プリトリウス博士(アーネスト・セジガー)と名乗る人物が現れ、「怪物」の「花嫁」を創るという、さらなる狂気の実験を持ちかける…。
前作『フランケンシュタイン (初回限定生産) [DVD]』の興行的成功に気をよくしたユニバーサルが、その4年後に製作した続編。ホエール監督は、当初、続編に全く乗り気ではなかったものの、創作上の全権限を与えるというユニバーサル側の条件提示によって演出を引き受けたという。そういった意味において、ホエールの映画監督としての刻印が最もよく現れている作品とも言われ、第1作以上の出来、ホエール作品のベストと評価する向きも多い。
前作がユニバーサルの30年代、40年代のホラー路線を決定づけた記念碑作品的1本と言われるだけあって、正統的なホラー(恐怖)作品であったのに対して、続編である本作は、ずいぶんとユーモアが加味されている。その結果、「神になろうとした男」というテーマが、中心に据えられてはいるものの、重みはなくなったような感じがする。全体としてみると、「神になろうとした男」たち(今度はフランケンシュタイン博士に加え、プリトリウス博士も)の執念と挫折を描いた悲喜劇と言った趣だ。プレトリウス博士を演じるアーネスト・セジガーの怪演が作品全体のユーモア味を決定づけている。コリン・クライヴが、神に真向から挑戦するかのような切羽詰った感じなのに対し、セジガーは、神をからかってやろうという感じの茶目っ気がある。自分の創った、壜に入った小さな生命体を嬉々としてフランケンシュタイン博士に見せるあたりは(この場面の特撮はとても良く出来ている)、そういったセジガーの茶目っ気が一番出た名シーンだ。彼の怪演が、この作品を前作の重苦しいホラーとは違う、ヒステリー気味の喜劇のような味にしていることは間違いない。
そういった「神になろうとした男」たちの物語と並行して描かれるのが、怪物の心の旅である。前作では、誰からも畏れられ、忌み嫌われる「物体」でしかなかった怪物が、盲人と出会うことで、初めてやさしい扱いを受け、精神的、人間的な成長する様が感動的に描かれている。特に、盲人とのささやかな交流は、後に、メル・ブルックスが『ヤング・フランケンシュタイン [Blu-ray]』でもパロディにしたほどの名場面だが、ユーモラスであると同時に(怪物は葉巻をくゆらせ、ワインをがぶ飲みする!)、社会から疎外された者同士の束の間の心の触れ合いといった感じで、怪物の流す一筋の涙に、思わずこちらも涙してしまう素晴らしさだ。ボリス・カーロフのパントマイム的仕草と限られたセリフだけでの情感豊かな表現力は、彼の俳優としての力量を再度確認させてくれる。もう一人の怪物―タイトルロールである―エルザ・ランチェスターの花嫁も、とても短い出演(1分にも満たない)ながら、怯える小動物のように、大きな目をギョロリとさせて強い印象を残す。儲け役というと失礼だが、役得だろう。
すでに述べたように、前作のような一貫したホラー・テイストではなく、全体としては、正直、脚本も粗くて、チグハグな部分も目立ちバランスが悪い。しかし、そういった一貫性のなさが欠点とはならずに、前作とは違う、不思議なごった煮的魅力になっている。
本DVDは、VHS、LD時代のマスターではなく、新たにリマスターしたマスターを使ったもの。ある程度レストアはされているようだが、全体的に暗く、グレインも粗く目立つ画質。音声も、ノイズがあるが、製作年を考えれば良好だろう。特典には、スコット・マックイーンによるコメンタリー、ジョー・ダンテがホストを務めるメイキング"Creating The Bride of Frankenstein"(約38分)、予告編(約1分30秒)、フォト・ギャラリーが収録。怪しげなパブリック・ドメイン(権利切れ)DVDが、数社から発売されているが、映画ファンであれば、正規盤である本DVDを買うべきだろう。
フランケンシュタインの花嫁 (初回限定生産) [DVD]
正直言うと前作よりもこの続編の方が面白いです。テンポがよく前作と違って退屈ではありません。またエルザー・ランチェスターが原作者のメアリー・シェリーと人造花嫁の一人二役をしているのも面白いです。前作同様、原作に近くファンならきっと楽しめると思います。
フランケンシュタインの花嫁―三浦悦子人形作品集 (Pan‐Exotica)
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フランケンシュタイン レガシーBOX [DVD]
映画史上不滅の金字塔と言われる「フランケンシュタイン」については、これまでにも多くのことが書かれているので、ここで付け加えることは何もない。フランケンシュタインの怪物の良いところは、恐ろしさの中に何とも言えない悲哀の漂うところだ。その点が、ドラキュラとも他のモンスターとも全く異なる点である。第2作「フランケンシュタインの花嫁」は、我が国では余り評価されていないようだが第1作を凌ぐ名画。ドイツ表現主義の影響を受けた暗い映像美と、ハリウッド的ヒューマニズム+メロドラマが見事に結合しており、「市民ケーン」や「カサブランカ」に勝るとも劣らない、映画史上最高の名画の1つと思われる。しかし、私にとって最も嬉しかったのは、20年来見たいと思っていた「フランケンシュタイン復活」を初めて見られたことだ。映画全体の出来としては前2作に一歩を譲るが、話としても良く出来ているし、何と言っても主役の3人(ラズボーン、カーロフ、ルゴーシ)が素晴らしい。ルゴーシは、有名なドラキュラの役よりも、寧ろこちらの怪人イーゴルの方が良いとさえ思えるほどだ。「幽霊」と「館」は殆ど三文映画の域を出ないが、「館」の方は、モンスター全員集合というアイデアが面白い。最初の三作で、フランケンシュタインのモンスターを演じたカーロフが狂人の科学者として素顔で登場したり、ジョン・フォード作品で馴染みの深いジョン・キャラダインがドラキュラに扮していたりするのも面白い。俳優という点では、「幽霊」にも、セドリック・ハードウィックやラルフ・ベラミーなどの名優が登場するので、クラシック映画ファンには見どころもある。何しろ4枚組にしては値段が安く、超名作が3本も含まれていて、映像特典も楽しめるのだから、非常にお買い得なセットである。
ユニバーサル・モンスター・コレクション (緑) [DVD]
吸血鬼映画の金字塔にして、その後の吸血鬼映画の原典ともいうべき「魔人ドラキュラ」。続編が本編を越えた稀な例のひとつである「フランケンシュタインの花嫁」。その監督のホエールが自身では自分の最高作と思っていたという「透明人間」。
この三つはホラー映画のみならず、映画史を語る上で欠かせない名作である。
しかも今回は「魔人ドラキュラ」を、あのフィル・グラスが新たに作曲した新しいサントラでも観ることができるというおまけまである。
惜しむらくは「大アマゾンの半漁人」がこの3作とは比較にならない出来で、しかも公開当時売り物だった立体映像で観ることができないこと。しかし、セットで買って損はないと思う。