鬼切り夜鳥子3 みちのく血煙慕情 (ファミ通文庫)
面白いゲームが作れるからって、面白い小説が書けるとは限らない。
そんな子供のような反発で避けていた桝田省治の最新作、今回は時代物だというので読んでみました。
読了後に猛省。食わず嫌いは敵だと痛感しています。
主軸は二振りの刀をめぐる逃亡劇であり、異能者たちの戦いを描いた退魔アクションです。
しかし、それ以上に印象に残るのがヒロイン夜鳥子と求道の純愛。いささか純愛と呼ぶには難のある人物造詣ですが、ラストまで読めば確かに純愛としか言いようが。
個人的に「微」エログロは看板に偽りありだと思うので万人には薦められませんが、もしも伝奇が好きで、懸命に生き抜こうとするヒロインが好きで、血わき肉躍るバトルも好きで、おまけにまだ「鬼切り夜鳥子」を読んでいないという人がいたら、ためしに読んでいただきたいと思います。
是非ご一緒に、夜鳥子の物語を時系列順に読めるという、遅れてきた読者だけに許される特権を満喫しましょう。
慕情【字幕版】 [VHS]
この作品に流れる音楽は懐かしい私の青春を、またあの異国情緒豊かな香港の町を見下ろす丘に登ってみたいというあの時の憧れをいとも簡単に蘇らせてくれます。
いまだ、香港に行けず悶々として過ごしている者とし
このビデオに星5つの評価をあげたい。
エデンの東 [DVD]
この映画を見て感じたのは、時代や文化が変わっても人間の考えることはあんがい同じだなあということである。
誰もが善人だと思い、自分でもそう信じ込んでいる父親アダム、彼が寵愛する兄のアロン、父親に愛されなくて、それゆえに反抗する弟のキャル(ジェームズ・ディーン)、アロンの婚約者でありながら次第にキャルに惹かれるアブラ(ジュリー・ハリス)、一家を捨ててしたたかに商売をしながらも、キャルとの再会後に母親としての感情を思わず出してしまうケイト、彼らの愛憎を最初はゆるやかに、次第に速度を上げ、最後はジェットコースターのようにラストシーンに物語は突き進む。
この映画の本当の主人公はキャルではなくてアブラだ。草原でキャルに自分の苦い少女時代の体験を打ち明けるシーン、観覧車で思わずキャルにキスを許すシーン、父親から誕生日の贈り物を拒否され嘆き悲しむキャルを慰めるシーン、そして脳卒中で死に瀕した父親とキャルとを何とか仲直りさせようとするシーン、そのどれもがごく自然でありながら全身を使ったすばらしい演技であり、観る者をスクリーンに引き込もうとする。
ジョン・スタインベックの原作は大河ドラマであり、映画はその最後の章を使ったにすぎない。アロンとキャルも映画に比べて公平に描かれており、アブラの慈愛あふれる描写もない。
「完全な善人などいない。しかし誰でも心がけ次第で善人にも悪人にもなれる。大切なのは他人をおもいやること。」映画で言いたかったことはこの一言に尽きる。
「大衆は何を欲しているか。」エリア・カザンは熟知していたと思う。難解な原作を「誰にでも分かりやすく、感動的に演出した」ところに、彼の巧さと狡さがある。