YANN TOMITA’S “SUMMER WORKSHOP” [DVD]
全体的に贅沢きわまりないヤンさんファンにはたまらんDVDなんですが残念な事に電子音楽の歴史をヤンさんが詳しく語るんですが著作権の問題と思いますが当日その場にいた人だけは聞けた数々の貴重な歴代電子音楽がこのDVDでは聞けないんですよね。そこだけは完全に排除されてしまっています。なんか肩透かしをくらいました。非常に残念です。
Music・Meme4 VARIATIONS(DVD付)
現代日本の音楽シーンを引っ張る大物という大物がこぞってリスペクトする偉人、ヤン富田の新作です。小山田圭吾から、小西康陽から、藤原ヒロシやら、須永辰緒に田中知之、いとうせいこう、テイ・トウワなどなど、ヤン崇拝者は数え挙げればキリなしです。
全編通して揺らぐ電子音に、穏やかなリズムと甘美なメロディーが秀逸。スピーカーから放たれる、心地よく微妙な空気の震えに身体全体包み込まれれば、完璧チルアウト。環境音楽の大家Brian Eno(ブライアン・イーノ)に代表されるAmbient(アンビエント)音楽とも一線を隔した、ヤン富田ならではのリラクシンな音たち。ぜひ。
ミュージック・フォー・アストロ・エイジ
多分、自分が購入した音楽作品の中で、一番不思議で、多彩で、美しく、楽しい音楽です。ジャズ・ジョンケージ・ミュージックコンクレート・スティールパン・トリニダードのフィールドレコーディング(地元のおじさんの唄)等々…。ばらばらにちりばめられているようで、全体としてはヤン富田ワールドとしか言いようのないものになっています。自分的にはスティールパンのソロ演奏が最高ですね!確かに現地での演奏とはあまりにかけ離れた印象です、ヤン富田流のわびさびを感じさせます。
にほんのうた 第一集
今まで、にほんのうたをうたう企画は、声楽歌手らによる美しい音色と曲本来の美しさで“陶酔する”作品は多くありました(唐澤まゆこの『なつかしい未来 ~日本のうた』波多野睦美『美しい日本の歌 (CCCD)』等)。しかし、それだけではポピュラリティの獲得は難しかったかもしれません。にほんのうたをクラシカルな美しさで未来へ残すだけでなく、聞きやすく手にとりやすい、即ち“親しみやすい”かたちに手直すというのは、うたの伝承という面からも求められることですし、一方でリスナーのニーズとしても、細分化され続けるシーンの中で世代を超えて聞かれるうたは求められるものだったと思います。
ユニークな声や音楽で歌われれば我々も子供も楽しく、真似てしまう、つい口を発し歌いやすくなります。あがた森魚「森の小人」やヤン富田「やぎさんゆうびん」、特に八代亜紀「証城寺の狸囃子」なんて本当に楽しくさせてくれます。大人も楽しめるアレンジなんですよ。高田漣「赤とんぼ」なんて当に大人になってからしみじみ口ずさむ時のような仕上がりです。ただカヒミカリィ・大友良英「からたちの花」までいくと、何かお迎えがやってくる領域にまで達してますけども。坂本龍一・中谷美紀「ちいさい秋みつけた」も金剛杖をついて浄土へ向うような欝アレンジです。「旅愁」にほっとさせられました。一方キセル「かなりや」の後半展開やキリンジ「埴生の宿」のトロピカルな明るさは新しい時代に相応しい息吹です。
他方でやはりにほんのうたは「この道」等“美しさ”を秘めるものであり、その美しさと親しみやすさとの接点を担ったのは大貫妙子、最高の選択だと思います。その透明な声、凛としつつしなやかで抑制的な表現。形容しがたい静かで優しい風がこころをとおりぬけてゆきます。
一曲目に戻ったとき、三波春夫の味わい深い音色が一度目よりも一層しみてきこえることを実感しました。コーネリアスのアレンジにも歌心があり、歌声を彼方まで運んでいます。