俵屋相伝 (受け継がれしもの)
俵屋は素晴らしい旅館であるといわれています。いろいろな雑誌に取り上げられていて、断片的な良さはわかっていましたが、この本を読んで、あるいは見て(たくさんの写真が掲載されています)、なぜ俵屋が日本のNO1なのかが、よく理解できました。旅館として長い歴史を誇り、その伝統を維持しながらも、他方で新しいものも取り入れ、そこに泊まるお客様に対して感動を与えています。
また、そこで働いている人たちも登場し、維持メンテナンスにどれだけの力を注いているかもわかります。
部屋、庭、設え、骨董、料理等の写真に、季節感が醸し出され、見る者に感動をあたえます。疲れたときに、椅子にもたれながら眺めているだけで癒され、さらに次の日への活力が湧いてくるような、素晴らしい一冊です。
俵屋の不思議
おそらく私には一生縁が無いと思われる京都の高級旅館「俵屋」
そこに関わる人々越しに京都文化を伝える素晴らしい本でした。
槙のお風呂を専門に洗う(磨く)職人さんの存在を私は初めて知りました。
大工さん、左官さんなど建物に関わる職人さん、お庭、調度品、家具に関わる職人さん。
関わる全ての人々が「俵屋」の魅力を紡ぎ出しているのだと感じました。
著者である村松友視さんの品のある、無駄のない文章がその魅力をよく伝えてくれています。
先日、外観だけでも…と「俵屋」を見に行きました。
ちょうど工事中で多くの業者さんの車が停まっていました。
どっしりとした建物を囲う長い壁は、やはり出入りする者を選んでいるような厳格な雰囲気でした。
さすがに宿泊することはできませんが、お豆腐やさん、お漬物やさんなど食べ物系のお店ならほんの少し気分を味わえるかも…と、次の京都へ行く際の楽しみが一つ増えました。
俵屋の不思議 (幻冬舎文庫)
この本を読んで、伝統や文化といったものが、
いろいろな関係性のなかで受け継がれていくのだと分かりました。
京都の職人さんたちの存在によって旅館の俵屋が生き続け、
俵屋と女将さんの存在によって、本物の職人さんたちの力も生き続ける。
日本が絶対に守り抜いていかなければならないおもてなしの心や文化、
職人の技術を、俵屋を切り口として感じることのできる本です。
俵屋が雑誌などで紹介されているのを見てすごいなぁとは思っていましたが、
この本のおかげで、そのかけがえのなさに気づいたように思います。