リスト バガニーニ練習曲 (Zen-on piano library)
ブゾーニの編曲したカンパネラはリストのオリジナルより難易度が下がっているにも関わらず演奏効果が高いのです。例えば、オリジナルでは右手の4−5指のトリルが頻出しますが、ブゾーニはそれを弾きやすい(人間の手にとって合理的な)パッセージに置き換えていますので、トリルが不得手な人でも大丈夫です。
ブゾーニはパガニーニ練習曲全曲を編曲しているのですが、楽譜が非常に入手困難です。国内で入手容易なのは収録されたカンパネラだけといっても過言ではなく、その意味ではたいへん有意義な楽譜といえます。欲を言えば、ブゾーニ編曲をあわせて全曲収録してほしいものです。
ブゾーニ: ピアノのためのトランスクリプションとパラフレーズ集
ベーゼンドルファーインペリアル使用、ということは
つまり例のシャコンヌのラストがオクターブ上がらないわけですね。
それだけでなく、Fantasia Contrapuntisticaへと発展する元となった大フーガや、
リストのメフィストワルツのブゾーニ版、
同じくリストのオルガン曲、アド・ノス・アド・サルタレム・ウンダムのピアノ編曲版、
ショパンによるバリエーションやカルメンファンタジー(ソナチネ6番)など、
編曲家としてのブゾーニの偉業を十二分に伝える内容です。
演奏もしっかりとした堅実な演奏で、
シャコンヌだけしかしらないけど安いからまあいいか……と買って、
他の曲も好きになれる、とても良心的なボックスです。
バッハ:主よ、人の望みの喜びよ(ピアノ曲集)
チェンバロのために書かれた「半音階」と平均律1-10の原曲「プレリュード」(BWV855a)を除き、
バッハのピアノ編曲ものを集めたCD。
CDデータにはありませんが、解説によると編曲者は順に、
ヘス、ブゾーニ、ブゾーニ、ルストナー、リスト、ブゾーニ、
ブゾーニ(ブラームスではない)、ブゾーニ、A.シロティ、原曲、です。
バッハをピアノで弾いている人には、資料として貴重です。
(オリジナル重視の近ごろの風潮から、こういう演奏集は意外に少ない)
またバッハ好きの人も、持っていて損はないと思います。
「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」が入っていればなお良かった。
演奏は個人的にはあまり趣味ではありません。
やや大味、力技的な印象があります。
例えば表題曲のコラール第三部分を、あんなにガツンとffで弾く必要があるのだろうか、とか。
ピアノという楽器をフルに駆使すると、このような解釈になるのかなとも思いますが、
ヘス自身や、リパッティ、ブーニンなどはもっと上品に弾いています。
表題曲の演奏では、やはりヘス自身の演奏 がずば抜けています。
ついでに書くと「シチリアーノ」BWV1031(フルートソナタ)
は今日ではバッハの作品ではないとの説が有力です。
Transcriptions 2
他の曲も素晴らしいですが、やはりシャコンヌが文句なしにいい。
例えば、キーシンのように明るく澄んだ爽快感で疾走していくハイテンポの演奏もいいですが、このテンポを抑えて、じっくりと間を味わいながら進む演奏も素晴らしい。
是非、いろいろなことに思いを馳せながら、音楽に浸ってみてください。
バッハ=ケンプ ピアノのための10の編曲
既刊の「ピアノのための10の作品」(106000)を、原出版社、Bote&Bock社の最新版に準じ楽譜内容を改訂(収録曲目は変更なし)したそうです(全音社Webサイトより)。
編曲はすべてケンプによるものです。
[ 曲目 ]
神よ、あなたに感謝をささげます BWV.29
Sinfonia aus der Ratswahlkantate
ハープシコード協奏曲 第5番 ヘ短調 BWV.1056 第2楽章「ラルゴ(アリオーソ)」
Largo (Concert a cembalo concertato 5 f-moll)
シチリアーノ(フルートソナタ第2番)BWV.1031
Siciliano aus der 2 Flotensonate
来たれ、異教徒の救い主よ BWV.659a
Nun komm, der Hiden Heiland
目覚めよと呼ぶ声が聞こえ(「カンタータ140番」からコラール) BWV.645
Wachet auf, ruft uns die Stimme
主よ、人の望みの喜びよ BWV.147
Jesu, Joy of Man's Desiring Chorale from Cantata
あなたの道をお選びなさい(わが心からの望み)BWV.727
Befiehl du deine Wege (Herzlich tut mich verlangen)
イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ BWV.639
Ich ruf' zu Dir, Herr Jesus Christ
"たしかにその時機だ(いざともに喜べ、愛する信者たちよ)BWV.307,734"
Es ist gewisslich an der Zeit (Nun freut euch, lieben Christen g'mein)
こころよき喜びの声にて BWV.751
In dulci Jubilo