金田一耕助の事件匣 市川崑×石坂浩二 劇場版・金田一耕助シリーズ DVD-BOX
特典DVDには、最近の石坂さんと市川監督の対談、加藤さんへのインタビュー、若かりし日の石坂さんへ市川監督がインタビューした映像、横溝正史の生い立ちのダイジェストが収録されています。この特典DVDは、なかなか面白かったです。映画を見た後に、これを見ると、更に理解が深まったりして楽しめるかと思います。映像は、テレビで見ていた時より綺麗な画像になっていて、個人的には、もう少し粗い方が、雰囲気が出たのでは?という気もしました。ですが、ファンの方なら、持っていても損は無いと思います。小冊子も一緒についていて、こちらも面白かったです。
華岡青洲の妻 [DVD]
批評家などにもあまり採り上げられる事はないようですが、“華岡青洲の妻”は、増村保造監督作品の中でも、かなり完成度の高い逸品だと思います。
まずなんと言っても配役が完璧です。 高峰秀子は、美しいけど気丈で、むしろ男っぽい性格の女をやらせれば天下一品の女優さん。 対する若尾文子は大人しく従順そうな顔をしていながら、その内側には、燃えるような情念をたぎらせている女がなんと言ってもはまり役。 この二人が嫁・姑対決を演じるのですから面白くならないはずがない! どちらか一方の女優さんが画面手前にいるときの、後方にいるもう一方の女優さんの視線を見てください。 すごい怖さです。 この辺の演出がまさに増村監督の真骨頂。
一つ難を言えば、妻・加恵がなぜ姑をあれほどまでに憎みだしたのかの説明が、すこーし弱いような気がします。 このへんは原作を読んでいないので映画版でどういう処理がなされたのかわかりませんがー。 とは言え、独特の凄みがあるんだけど、いつもどこかチープな雰囲気が出てくる増村作品の中では、美術、演技陣も充実していて重厚な感じが強く、断然お勧めの作品に仕上がっています。