大人のように孤独をまとえればとひとりは思った。子供のように泣きじゃくることができればとひとりは思った。そんなふたりの女性が不思議な石の力でその思いを遂げることができたとき・・・。そんな物語。その交わりの中心に大人らしさというズルさを学んだひとりの男性がいて・・・。
「よみがえる空」の製作会社・
スタッフがシフトして作った作品だけに、落ちついた堅実な作りでからだちゃんと椒子さんの繊細な心の動きを追っていく。網野姉弟が実にいい位置で、タテマエに逃げ込むふたりと尋を部外者の立場から、時にサポートしつつ時にかき回す。キャラ配置が絶妙なんだね。そこに小林七郎氏の背景画がこれまたよくあってるんだ。このごろのデジタル化した彩色でパステル調の小林氏の画は違和感を感じることもあってちょっとさびしかったんだけど、この作品の静かなトーンはピッタリ。でもボク的には伊藤郁子氏のウデに相変わらず感服したしだいだよ。佐藤順一氏とのタッグで有名な伊藤氏で「魔法使いTai」「
プリンセス・チュチュ」なんかは大好きなんだけど、どちらかといえばデフォルメのきついファンシーなキャラデの印象が強かった。でもこの作品のキャラデは椒子さんの斜に構えた色っぽさや徹充くんのほんのりのぞく男くささみたいな生々しさが見事に描かれている。千羽由利子氏なんかもそうだけどお気になアニメーターさんの進歩を見せつけられると、おたく心をくすぐられてゾクゾクするほどうれしいね。
こういう趣のある作品は、若いお父さんお母さんが子供が起きる前の日曜の早朝。コーヒーでもいれながら、今日の予定でも話してるうしろについてるTVにながれてる。そんなシチュエーションで見てほしい。アニメのターゲットが狭くなってるっていうけど一般に訴える作品はあるんだよ、それを広める環境がない。問題はそこでしょ。