ラウンド・ミッドナイト [DVD]
米国に生まれたジャズとパリという街は、長い間、恋愛関係にあった。この映画の描く1950年代といえば、モダン・ジャズの黄金期であり、同時にパリがジャズ史に最も重要な位置を占めた時代でもある。ルイ・マルの映画「死刑台のエレベーター」(57年)でマイルスが音楽を担当し、その翌年にキャノンボール・アダレイの「サムシン・エルス」でシャンソンの「枯葉」(=この曲はパリでのマイルスが2週間だけ恋人関係にあったジュリエット・グレコの代表曲でもある)が演奏されてジャズ・スタンダード化するのも、この時代である。
本作では、薬と酒でボロボロになってニューヨークからパリに渡ってきたサックス奏者デイルと、彼の熱狂的ファン・フランシス(この名前からして「フランス人」の隠喩のようだ)の交流が描かれるが、フランシスのデイルへの尽くしっぷりが、まるでダメ男を献身的に支える女性の姿のように見えることには必然性がある。なぜなら、本作はかつてパリがジャズに抱いていた恋心についての映画だからだ。それだからこそ、物語のラストは典型的なフランス恋愛映画のように寂しい余韻を残す訳だし、フランス人監督の目線は、あくまで捨てられる側の片想いと失くした恋への未練が中心となる。
この時代のモダン・ジャズを味わうようにゆったりと味わいたい映画だが、ストーリー的には、デイルが破滅していく様子を2時間ゆっくりかけてひたすら描いているので、若干一本調子であることは否めない。かかっている音を純粋に楽しめないと少し退屈する人もいるだろう。一方、音の方をしっかり聴きたい方には、サントラの方もオススメだ。
本作では、薬と酒でボロボロになってニューヨークからパリに渡ってきたサックス奏者デイルと、彼の熱狂的ファン・フランシス(この名前からして「フランス人」の隠喩のようだ)の交流が描かれるが、フランシスのデイルへの尽くしっぷりが、まるでダメ男を献身的に支える女性の姿のように見えることには必然性がある。なぜなら、本作はかつてパリがジャズに抱いていた恋心についての映画だからだ。それだからこそ、物語のラストは典型的なフランス恋愛映画のように寂しい余韻を残す訳だし、フランス人監督の目線は、あくまで捨てられる側の片想いと失くした恋への未練が中心となる。
この時代のモダン・ジャズを味わうようにゆったりと味わいたい映画だが、ストーリー的には、デイルが破滅していく様子を2時間ゆっくりかけてひたすら描いているので、若干一本調子であることは否めない。かかっている音を純粋に楽しめないと少し退屈する人もいるだろう。一方、音の方をしっかり聴きたい方には、サントラの方もオススメだ。