1960年代中・後半の特撮ヒーローブームの一翼を担った夢溢れる作品です。
巨大ヒーローを配した円谷プロやPプロ、東映特撮に対し、正義感の強い普通の少年が強化服と言うアイテムを身に付ける事によって等身大のヒーローになる設定が特徴でした。
限られた予算(特にミニチュアワーク)を強く感じさせますが、逆にキグルミを減らし、操演を中心にした個性的なデザインの敵宇宙生物や、エスパーをサポートする鳥型端末チカのユニークさ、鮮やかな原色を基調としたカラーテレビ映えする
美術、当時の子供たちの愛唱歌となった主題歌。 そして撮影中に成長して行く様子が追える三ツ木清隆氏のエスパーにピッタリの眼力が有る凛々さ等が現在見ても新鮮です。
(この後、ネタバレが有ります。)
この時期の特撮物の最終回は軒並み印象の強いエピソードが多いですが、エスパーの「宇宙の果てまで」は現在観ると14歳の子供に地球の命運を背負わせ特攻を掛けさせる非情さとエスパーの肉親であるからと宇宙人に殺された母親が庭に焼け焦げた跡として残っているシーンなど大変ハードな内容で驚きました。
エスパーが生死不明のまま彼岸を彷徨う様に見える幻想的な演出が不思議な余韻を残す傑作でした。
(ネタバレ終了です)
最終回の敵役、アルゴル星人の浮遊する輝石化したホヤの如き抽象的なデザインも秀逸で、この星人と前半部の小林清志氏の声が渋いレギュラー悪役ギロン星人が食玩全盛時にどこからもフィギュア化されなかったのが惜しいです。
DVDの画質は色調こそ非情に鮮やかながら、毎回挿入されるオープニングに縦のノイズが載っているのはなんとも気になります
特典のパイロット版(まだ幼い三ツ木氏が可愛らしい)は嬉しいですが、関係者のオーディオ・コメンタリーや撮影秘話(エスパー役は
キャプテンウルトラと同様肉体的に相当ハードだったと思われる)等も是非付けて頂きたかったです。
全26話とパイロット版を4枚のDVDに
コンパクトにまとめたBOXは省スペースで助かりました。
当時のファンで前回のBOXを未購入の方にはお薦めです。