始めてみたのはいつだったかなぁ、、 とにかくかなり小さい頃に見た記憶があります。
それからは繰り返し繰り返し、何十回もこの映画を見ています。
ですが、飽きることなく、何度でも観て、何度でも背筋がゾクッとくる感覚を味わえる。こういう映画は貴重じゃないでしょうか。
自分は映画⇒原作と入ったので、原作派の人が酷評する、二時間に詰め込みすぎストーリーが破壊しているというのはあまり実感が沸きません。
どちらも何度も何度も観て、読みましたが、二時間と言う短い映画の尺の中で、よくコレだけ複雑な映画を描き切ったと思います。むしろ賞賛に値しますよ。
確かに、全てを表現し切れていません。
映画にしても一度で全ては解らず見る度新しいことに気付かされました。そして、原作も一度読んだだけでは全てを消化できませんでした。
それ程人間模様が濃く、複雑で、だからこそ面白い物語なんです。
才能は欲しい者にのみ与えられるものじゃない。 この言葉が、この映画の根本を全て凝縮していると思います。
誰より努力し、才能が無いまでに上がれなかったアクマ。才能を持っているのに、闘争心のないスマイル。
ペコやスマイルより才能が劣り、そして誰より強いが故に勝利への執着と確信、そして責任、辛苦を同時に受け葛藤するドラゴン。
そして、誰よりも才能を持っているのに誰にも勝てなかったペコ。
才能、嫉妬、挫折、尊敬、成長、開花。それらが人間を中心に取り巻き、物語を紡ぎだす。
だからこそこの作品は面白く、だからこそ、ペコとドラゴン、ペコとスマイルの試合は何度観ても鳥肌が立つのでしょう。
個人的には窪塚のペコの配役はベストだと思いましたね。気の抜けた感じが何とも言えずマッチしています。
スマイル、ドラゴンにしても、オババにしても、あれだけ個性的なキャラクターを良くああも演じきったものだと思います。
スマイルの一見無機質で冷静で内に激情を潜めた性格を、ドラゴンの圧倒的な強さに裏打ちされた勝利への執念、その内側にある『勝つ』苦しさ。
たった二時間の中で、あれだけ難しいキャラを表現し切った役者等の演技は凄まじいものがありました。中村獅堂は流石の演技力ですね。
一つ、小泉と
キャプテンの性格の不一致は気になりましたが、両者とも良い味が出ていて自分は好きでした。原作映画共に良い性格をしています。
この映画の何が一番特筆すべき所といわれると、音楽ですね。
それぞれのシーンでのBGMが最高にシンクロしています。主張するでなく、調和し、強調し、盛り上げる。BGMには何が必要で何が要らないのかを完璧に解っていないとこうはなりません。BGMを聴くと、そのシーンが鮮明に脳裏に思い出されます。
BGMが素晴らしい映画を言えと言われれば、自分はこの映画を真っ先に挙げるでしょう。
演出もまた素晴らしいもので、一見すると地味と捕らわれがちな卓球を題材とし、良くここまで緊迫感溢れる映画を創り上げたと思いますよ。
それぞれの原作での演出、表現に忠実に沿っていて、それを映画として掘り下げ完璧なまでに再現しています。(特に、チャイナとスマイル、ペコとドラゴンの試合が)
題名にも書いたとおり、五つ、好きな映画を選べと言われたらこの映画はその一つに確実に入るでしょう。
色々な映画を観て多少は映画の良し悪しが解るようになった今も、その思いは変わりません。
小さい頃からずっと見ていたのもあるのかもしれませんが、間違いなく自分の人生に影響を与えた作品です。
公開され暫く経った今も、それは色あせることはありません。