金色夜叉(通常版)
あまりにも有名過ぎ、かつベタなクライマックスに、笑いを堪える覚悟で購入しましたが、いざ、聴いてみると、笑いどころか、胸締め付けられる心持ちで、終了しました。
諏訪部さんの朗読の力もさる事ながら、文語体の言葉の美しさに魅せらました。
諏訪部さんの朗読の力もさる事ながら、文語体の言葉の美しさに魅せらました。
金色夜叉
文章が格調高い明治の文体で、リズムが良く、どんどん進みます。中身はメロドラマですが、義理人情の感覚が今と違い、人物の苦悩も深く描かれます。
感情に素直になったら、救われるという訳でもなく、どこまでも救われないところが文学ですが、後半はやや冗長な印象です。中途半端な最後かも知れませんが、このくらいで終わって良かったとも思います。
感情に素直になったら、救われるという訳でもなく、どこまでも救われないところが文学ですが、後半はやや冗長な印象です。中途半端な最後かも知れませんが、このくらいで終わって良かったとも思います。
多情多恨 (岩波文庫)
尾崎紅葉と言えば、知らない方も多いかと思いますが、純文学が私小説中心になる前の時代に活躍した文人ですね。それまで自然主義文学などを中心に読んでいたので、その表現の豊かさに驚きました。ジャンルとしては恋愛に近いかもしれません。
純粋に亡くなった妻を思い続ける主人公の鷲見が、友人の家に下宿する事になり、その友人の妻の献身的な立ち働きに自分の元の妻の姿を重ね、思いを寄せていくという話なのですが、筆者の重視したところが主人公の鷲見の純粋な心情にあって、浮気や不倫といった所に重きが置かれていないというところが斬新でした。これが自然文学や、現代の大衆文学のミステリーにされてしまうと、泥沼の恋愛の様に描くのでしょうが、そのありふれた手段の見られないこの小説に驚きました。つまり、さわやか、とまでいかないかもしれませんが、わりと軽い感じです。
文体もその時代特有の軽妙さが見られて百年近くたった今でも十分楽しめます。明治の文化的な洒落た調子ですかね?
純文学なんて難しくて面白くない、と言う人は多いですが、そんな方にこの作品をお薦めしたいです。
純粋に亡くなった妻を思い続ける主人公の鷲見が、友人の家に下宿する事になり、その友人の妻の献身的な立ち働きに自分の元の妻の姿を重ね、思いを寄せていくという話なのですが、筆者の重視したところが主人公の鷲見の純粋な心情にあって、浮気や不倫といった所に重きが置かれていないというところが斬新でした。これが自然文学や、現代の大衆文学のミステリーにされてしまうと、泥沼の恋愛の様に描くのでしょうが、そのありふれた手段の見られないこの小説に驚きました。つまり、さわやか、とまでいかないかもしれませんが、わりと軽い感じです。
文体もその時代特有の軽妙さが見られて百年近くたった今でも十分楽しめます。明治の文化的な洒落た調子ですかね?
純文学なんて難しくて面白くない、と言う人は多いですが、そんな方にこの作品をお薦めしたいです。
金色夜叉 (新潮文庫)
この本を買ってから読むまでに、4年かかりました。
4年かかった理由としては、やはり難解な文体と字体でした。
でも、辛抱強く読み進めると、意外と文体には慣れるもので、わからない箇所はありつつも、音読したり読み返せばわかる事がほとんどでした。
なので、困難そうだから、という理由で先延ばしにされている方がいるのであれば、まずは読みはじめて欲しいです。
読みたいと思ったきっかけは、有名なシーンでもある、貫一がお宮を蹴るに至る理由をきちんと知りたかったからです。
予想に反して、物語のかなり早い段階で、お宮は蹴られます。
そこからが長い物語になるとは意外でしたが、どんどん引き込まれて、かなり長編であるにもかかわらず、
最後まで一気に読み進めてしまうほど、急進力のある展開でした。
ですので、未完ゆえに、物語が途中で終わってしまう感じがとても残念でなりません。
物語の展開が途中で終わる無念さは残るものの、明治時代当時の世間での考え方や心の機微、風景描写の細やかさ、
そして、明治文学を代表する文体の美しさに触れる事は、非常に意義のある事です。
外国語訳されているかわかりませんが、日本人でなければ感じる事のできない、
美しい日本語で表現された文学に触れる事をお勧めします。
4年かかった理由としては、やはり難解な文体と字体でした。
でも、辛抱強く読み進めると、意外と文体には慣れるもので、わからない箇所はありつつも、音読したり読み返せばわかる事がほとんどでした。
なので、困難そうだから、という理由で先延ばしにされている方がいるのであれば、まずは読みはじめて欲しいです。
読みたいと思ったきっかけは、有名なシーンでもある、貫一がお宮を蹴るに至る理由をきちんと知りたかったからです。
予想に反して、物語のかなり早い段階で、お宮は蹴られます。
そこからが長い物語になるとは意外でしたが、どんどん引き込まれて、かなり長編であるにもかかわらず、
最後まで一気に読み進めてしまうほど、急進力のある展開でした。
ですので、未完ゆえに、物語が途中で終わってしまう感じがとても残念でなりません。
物語の展開が途中で終わる無念さは残るものの、明治時代当時の世間での考え方や心の機微、風景描写の細やかさ、
そして、明治文学を代表する文体の美しさに触れる事は、非常に意義のある事です。
外国語訳されているかわかりませんが、日本人でなければ感じる事のできない、
美しい日本語で表現された文学に触れる事をお勧めします。