達人伝 ~9万里を風に乗り~(1) (アクションコミックス)
「蒼天航路」を代表作として「HEAVEN」や「地獄の家」と言った個性強烈な漫画が描ける【面白い作家】王欣太の最新作。
あれだけ有名になった作品を描いた人だから、作家紹介はいらなそうなものだけど、周りの評価を聞いていると案外そうでもなかったりします。
漫画やアニメの「キャラ」が好きで漫画を描いていると言うより、「人間」が好きで好きでたまらんから漫画を描いているってタイプの作家ですので、漫画慣れした漫画家が描くものとは違った作品を描きます。
とんでもない状況下でとんでもない人間が発揮する力の噴火。
SFでもなくファンタジーでもなく、人間が秘める生物としての力の爆発。
そう言うものが好きなんだろうなと感じさせる作家です。
故に、レビューでの表現に困る作家の一人なのですが、強いて言えば「正体不明の様々な獣肉と野菜をグラグラと煮込んだ強烈に辛くて強烈に野性味溢れる、だけど唸るほど美味い鍋」を食わせる料理人て感じ。
解り難い表現だけど「蒼天航路が好き」と言うより「王欣太が好き」と言う読者にはわかってもらえるんじゃないだろうか。
もっと言うなら、ただ鍋があるだけじゃなくて、もっとも夏が近づいた5月くらいの季節に太陽がカンカンと照る屋外でキリキリに冷えたビールと一緒に提供してくれる作家でもある。
実際、欲望を刺激する画力、描写力は古今の漫画家でも頭一つ抜けていて、
プラス、感情を揺さぶる表現力も備えているから、そらこの作家の作品、面白いに決まってる。
但し、考えて読むより味わって読むほうが向いている作家なのは間違いないのだけれど、何度も見返したくなる絵の魅力がある。
だから私はこの作家の作品は連載時は一切読まず、単行本になってからまとめて楽しむことにしています。
で、この「達人伝」なのですが・・・
王欣太の作品は、一貫した「らしさ」はあるのですが、風味、味付けは個々の作品で違ってきます。
そんな中で、一番この作品に近い味なのは「ファイアキング」じゃないだろうか?
「蒼天航路」より野趣が強くて、「地獄の家」よりスープが澄んでいる感じ。
「ReMember」にも近いんだけど、もう少し味付けが濃い。
群像劇、水滸伝的なんだけど、もっと寓話的と言うか、オペラっぽい感じがする。
・・・その「ファイアキング」に関しては未だに残念でならない。
つきだしと酒だけ出されて、調理の匂いを嗅ぎながらおなか減らしていたら、肝心の鍋だけ出てこなかったと言う信じられない事態だった。
いまだに、い・ま・だ・に!! 空腹感が満たされていない。
そこに来て、この作品。
出されたつきだしと酒、そしてこの調理の匂い・・・
あれだ!!
あの時の料理の匂いだ!!!
出だしなんかは敢えてやった感を感じるくらい「蒼天航路」っぽいんですけれど、私はそれでは騙されません。
だって、あの匂いがするんだもの。
思えば「ReMember」の時にも『あれ?この匂いは・・・』と思ったものですが、途中からは『やっぱり違うか』と。
今回も疑ってはいるんですけどね。
まあ、最終的に別の鍋がだされてもそれはそれでいいんです。
今度こそ
こんどこそ!! 最後まで味わえるのなら。
あれだけ有名になった作品を描いた人だから、作家紹介はいらなそうなものだけど、周りの評価を聞いていると案外そうでもなかったりします。
漫画やアニメの「キャラ」が好きで漫画を描いていると言うより、「人間」が好きで好きでたまらんから漫画を描いているってタイプの作家ですので、漫画慣れした漫画家が描くものとは違った作品を描きます。
とんでもない状況下でとんでもない人間が発揮する力の噴火。
SFでもなくファンタジーでもなく、人間が秘める生物としての力の爆発。
そう言うものが好きなんだろうなと感じさせる作家です。
故に、レビューでの表現に困る作家の一人なのですが、強いて言えば「正体不明の様々な獣肉と野菜をグラグラと煮込んだ強烈に辛くて強烈に野性味溢れる、だけど唸るほど美味い鍋」を食わせる料理人て感じ。
解り難い表現だけど「蒼天航路が好き」と言うより「王欣太が好き」と言う読者にはわかってもらえるんじゃないだろうか。
もっと言うなら、ただ鍋があるだけじゃなくて、もっとも夏が近づいた5月くらいの季節に太陽がカンカンと照る屋外でキリキリに冷えたビールと一緒に提供してくれる作家でもある。
実際、欲望を刺激する画力、描写力は古今の漫画家でも頭一つ抜けていて、
プラス、感情を揺さぶる表現力も備えているから、そらこの作家の作品、面白いに決まってる。
但し、考えて読むより味わって読むほうが向いている作家なのは間違いないのだけれど、何度も見返したくなる絵の魅力がある。
だから私はこの作家の作品は連載時は一切読まず、単行本になってからまとめて楽しむことにしています。
で、この「達人伝」なのですが・・・
王欣太の作品は、一貫した「らしさ」はあるのですが、風味、味付けは個々の作品で違ってきます。
そんな中で、一番この作品に近い味なのは「ファイアキング」じゃないだろうか?
「蒼天航路」より野趣が強くて、「地獄の家」よりスープが澄んでいる感じ。
「ReMember」にも近いんだけど、もう少し味付けが濃い。
群像劇、水滸伝的なんだけど、もっと寓話的と言うか、オペラっぽい感じがする。
・・・その「ファイアキング」に関しては未だに残念でならない。
つきだしと酒だけ出されて、調理の匂いを嗅ぎながらおなか減らしていたら、肝心の鍋だけ出てこなかったと言う信じられない事態だった。
いまだに、い・ま・だ・に!! 空腹感が満たされていない。
そこに来て、この作品。
出されたつきだしと酒、そしてこの調理の匂い・・・
あれだ!!
あの時の料理の匂いだ!!!
出だしなんかは敢えてやった感を感じるくらい「蒼天航路」っぽいんですけれど、私はそれでは騙されません。
だって、あの匂いがするんだもの。
思えば「ReMember」の時にも『あれ?この匂いは・・・』と思ったものですが、途中からは『やっぱり違うか』と。
今回も疑ってはいるんですけどね。
まあ、最終的に別の鍋がだされてもそれはそれでいいんです。
今度こそ
こんどこそ!! 最後まで味わえるのなら。
達人伝 -9万里を風に乗り-(7) (アクションコミックス)
おもしろいです。
蒼天航路が面白かった人は手にとって見ても損はしないと思います。
この巻で荘丹が国を旅立ってから一年もたってない事が判明したが、史実では孟嘗君が死去した時と華陽の戦いが起きたとき
では5,6年離れているようなので、作者は時の流れをを自由に創作的に扱っていくのだろう。
そうなるとこの漫画は長平の戦いあたりまでではなく、信陵君の最期まで書ききってくれるんではないかという期待が膨らんでくる。
春秋戦国演義とでも言えるこの漫画はこれから趙国へと舞台が移っていくようだが、藺相如や廉頗、平原君や趙括をどう描くのか
非常に楽しみだ。この漫画を通して彼らに出合えるのが待ち遠しいな。
蒼天航路が面白かった人は手にとって見ても損はしないと思います。
この巻で荘丹が国を旅立ってから一年もたってない事が判明したが、史実では孟嘗君が死去した時と華陽の戦いが起きたとき
では5,6年離れているようなので、作者は時の流れをを自由に創作的に扱っていくのだろう。
そうなるとこの漫画は長平の戦いあたりまでではなく、信陵君の最期まで書ききってくれるんではないかという期待が膨らんでくる。
春秋戦国演義とでも言えるこの漫画はこれから趙国へと舞台が移っていくようだが、藺相如や廉頗、平原君や趙括をどう描くのか
非常に楽しみだ。この漫画を通して彼らに出合えるのが待ち遠しいな。
達人伝 ~9万里を風に乗り~ : 1 (アクションコミックス)
「天地9万里を自在に遊ぶ心…決して虎狼の餌食にはならないものだ」
虎狼の帝国(秦)に侵略される中でも
なお人間の自由な魂を主張するこの場面が最高!
私達一般庶民に近い視点から書かれている(今のところは)ので
登場人物に感情移入がしやすいです。
荘子の孫で大ボラ(実はホラでは無く…なのですが)だけが武器の主人公「荘丹(そうたん)」
義侠心に溢れ料理の達人でもある「丁烹(ていほう)」
天下の有名人情報を全て頭に宿し関西弁でまくし立てるw「無名(うーみん)」等
皆、非常に魅力的です。
そして緊迫した場面で入る荘子直伝の「大呼吸」!
読んでるこちらもつられて深呼吸すると…
蓄積した心身のストレスがすーっと和らいで、
力が漲ってくるから驚きです。
虎狼の帝国(秦)に侵略される中でも
なお人間の自由な魂を主張するこの場面が最高!
私達一般庶民に近い視点から書かれている(今のところは)ので
登場人物に感情移入がしやすいです。
荘子の孫で大ボラ(実はホラでは無く…なのですが)だけが武器の主人公「荘丹(そうたん)」
義侠心に溢れ料理の達人でもある「丁烹(ていほう)」
天下の有名人情報を全て頭に宿し関西弁でまくし立てるw「無名(うーみん)」等
皆、非常に魅力的です。
そして緊迫した場面で入る荘子直伝の「大呼吸」!
読んでるこちらもつられて深呼吸すると…
蓄積した心身のストレスがすーっと和らいで、
力が漲ってくるから驚きです。
蒼天航路 VOL.1 [DVD]
原作の方もあらかた読んでいますが、DVDがでているとは知りませんでした。レンタル屋さんで見かけたので見てみました。
厳しいレビューが多いですが、実際に見てみると、正直そんなに悪くはないと思いました。
作画:よく描けています。原作とは筆致が違いますが、一コマに労力を注ぎ込める漫画と、たくさんのセルを生産しなければならないアニメというメディアの違いからくるものなので、仕方ないと思います。それでも、オリジナルのキャラデザインがめいっぱい再現されている方だと思います。
脚色:原作を多少ははしょっていますが、十分許容範囲だと思います。
声優:悪くないです。キャラのイメージどおりで、むしろいいです。
音楽:OPのヘビメタ?はどうかなと思いますが・・・本編の方は別に違和感ありません。
自分としては、総じてあまり欠点がみつかりませんでした。あえていうなら、原作の特徴でありウリでもある、文語的表現を多用した台詞まわしが、読んでいるときはいいのですが音声になるとわかりにくいというという点でしょうか。これは、オリジナルに忠実にしようとするとそうなりますし、聞き取りやすいように口語調にすると原作のテイストまで壊れてしまうというので、非常に難しいところです。本作品のセリフには、一回聞いただけではどんな字を当てるのか見当もつかない語彙もそのまま残されています。このような点から見ると、本作品は原作を知っているファンのための映像化として制作されたとみています。
メディアの違い上、原作の構図や筆致、場面構成の妙を完全に再現することは難しいでしょうが、逆に思い入れのあるキャラが画面いっぱいに動き回るのを見せてくれています。アニメ化にはアニメ化のいいところがあるというべきだと思われ、むしろ自分としては、出来るだけ原作に忠実であろうとする姿勢をすら感じました。
原作との比較などは別として、客観的にアニメ作品としてみた場合、これはこれで十分に水準以上だと思います。
厳しいレビューが多いですが、実際に見てみると、正直そんなに悪くはないと思いました。
作画:よく描けています。原作とは筆致が違いますが、一コマに労力を注ぎ込める漫画と、たくさんのセルを生産しなければならないアニメというメディアの違いからくるものなので、仕方ないと思います。それでも、オリジナルのキャラデザインがめいっぱい再現されている方だと思います。
脚色:原作を多少ははしょっていますが、十分許容範囲だと思います。
声優:悪くないです。キャラのイメージどおりで、むしろいいです。
音楽:OPのヘビメタ?はどうかなと思いますが・・・本編の方は別に違和感ありません。
自分としては、総じてあまり欠点がみつかりませんでした。あえていうなら、原作の特徴でありウリでもある、文語的表現を多用した台詞まわしが、読んでいるときはいいのですが音声になるとわかりにくいというという点でしょうか。これは、オリジナルに忠実にしようとするとそうなりますし、聞き取りやすいように口語調にすると原作のテイストまで壊れてしまうというので、非常に難しいところです。本作品のセリフには、一回聞いただけではどんな字を当てるのか見当もつかない語彙もそのまま残されています。このような点から見ると、本作品は原作を知っているファンのための映像化として制作されたとみています。
メディアの違い上、原作の構図や筆致、場面構成の妙を完全に再現することは難しいでしょうが、逆に思い入れのあるキャラが画面いっぱいに動き回るのを見せてくれています。アニメ化にはアニメ化のいいところがあるというべきだと思われ、むしろ自分としては、出来るだけ原作に忠実であろうとする姿勢をすら感じました。
原作との比較などは別として、客観的にアニメ作品としてみた場合、これはこれで十分に水準以上だと思います。