欲望 [DVD]
実はこの映画のラストには今だ消化不良な解釈しかできていない。ワタシが好きだったのは、冒頭のシューティングシーンであった。当時、写真家のリチャード・アベドンに『世界一の美女』と言わしめた本物のトップモデル、ウ゛ェルーシュカをぞんざいに扱い、しかも跨いで撮ったりして、そのエキサイティングでワイルドなシーンについドキドキしてしまった。後半のバーキンとの絡みなんて、全然セクシーさは感じなかった。あの不機嫌な写真家のモデルはデビット・ベイリーだそうだが、そのベイリーも最近映画を撮り、シャルロットゲンスブールを主演に起用。(ファンのワタシは気になるところですが。)前述の彼女の母ジェーン・バーキンも出ている。これをきっかけに大ファンになった主演のヘミングスは最近亡くなってしまったそう。合掌。
リバイバル公開された時のパンフレットによれば冒頭のシーンにしびれて本当に写真家になったヒトが多くいたらしい。たしかに、分かる。
リバイバル公開された時のパンフレットによれば冒頭のシーンにしびれて本当に写真家になったヒトが多くいたらしい。たしかに、分かる。
欲望 [DVD]
60年代のロンドンを、鮮やかに切り取った映画。
抽象絵画のような様式美をもち、ミステリアスで哲学的な作品だと思いました。
原題は「blow up(引き延ばし)」。
長い歳月を経ても、解き明かされていない、様々な解釈がある伝説的な映画だそうです。
名女優のV・レッドグレーブ(「ジュリア」「ジュリエットからの手紙」「つぐない」)の若い頃のセミ・ヌードシーンがあり、S・マイルズ(「ライアンの娘」「召使」)、J・バーキン、伝説のバンド、ヤードバーズも出演。
音声解説によると、J・バーキンのヌード・シーン、パーティー、ドラッグを吸うシーンなどは、当時物議をかもした衝撃的なシーンの連続だったとのこと。
60年代のファッション、髪型、メイク、音楽、ロンドンの町並みが鮮やかです。
アントニオーニ監督ならではの、抽象絵画のような美しい構図、伝説の名シーンの数々は楽しめました。
有能で人気写真家の、甘いマスクの青年(D・ヘミングス)が主人公。
写真家として成功した彼は、裕福で女にも全く不自由していない。
青年にとっては、他者は被写体としてのみの価値だけ。
傲慢で気楽な人間関係しか求めていない青年は、モノにも人間にも執着心や愛着心がなく、用事が済んだらサッサと捨てる。
そんな彼が公園で撮影した男女の写真に興味を抱き、「blow up」して執着し、最大の興味の対象となっていく所が皮肉。
それまでの青年は社会問題や貧困問題を、非情なファインダーからのぞいて撮影していただけで、何事にも無関心で他人事だった。
青年が撮った、ある重要な事件・・だが、彼は警察に通報せずに、ファインダー越しに捉えようとするところが、写真家・芸術家の業なのかもしれない。
劇中二度登場するパントマイムの集団とラストシーンは印象的で、ミステリアスな伝説の映画となった理由に納得しました。
見えないボールと聞こえる音、エンドロール直前映像・・様々な解釈ができて面白かったです。
主人公の青年役はT・スタンプにも似合いそうだなと思っていたら、T・スタンプにもオファーされていたそうですが、T・スタンプ、J・シムカスのキャスティングで観たい気もします、
解釈は人それぞれ、抽象絵画のように意味は後付されるもの・・という解説がありましたが、私はこの映画のもつ雰囲気が好きです。
抽象絵画のような様式美をもち、ミステリアスで哲学的な作品だと思いました。
原題は「blow up(引き延ばし)」。
長い歳月を経ても、解き明かされていない、様々な解釈がある伝説的な映画だそうです。
名女優のV・レッドグレーブ(「ジュリア」「ジュリエットからの手紙」「つぐない」)の若い頃のセミ・ヌードシーンがあり、S・マイルズ(「ライアンの娘」「召使」)、J・バーキン、伝説のバンド、ヤードバーズも出演。
音声解説によると、J・バーキンのヌード・シーン、パーティー、ドラッグを吸うシーンなどは、当時物議をかもした衝撃的なシーンの連続だったとのこと。
60年代のファッション、髪型、メイク、音楽、ロンドンの町並みが鮮やかです。
アントニオーニ監督ならではの、抽象絵画のような美しい構図、伝説の名シーンの数々は楽しめました。
有能で人気写真家の、甘いマスクの青年(D・ヘミングス)が主人公。
写真家として成功した彼は、裕福で女にも全く不自由していない。
青年にとっては、他者は被写体としてのみの価値だけ。
傲慢で気楽な人間関係しか求めていない青年は、モノにも人間にも執着心や愛着心がなく、用事が済んだらサッサと捨てる。
そんな彼が公園で撮影した男女の写真に興味を抱き、「blow up」して執着し、最大の興味の対象となっていく所が皮肉。
それまでの青年は社会問題や貧困問題を、非情なファインダーからのぞいて撮影していただけで、何事にも無関心で他人事だった。
青年が撮った、ある重要な事件・・だが、彼は警察に通報せずに、ファインダー越しに捉えようとするところが、写真家・芸術家の業なのかもしれない。
劇中二度登場するパントマイムの集団とラストシーンは印象的で、ミステリアスな伝説の映画となった理由に納得しました。
見えないボールと聞こえる音、エンドロール直前映像・・様々な解釈ができて面白かったです。
主人公の青年役はT・スタンプにも似合いそうだなと思っていたら、T・スタンプにもオファーされていたそうですが、T・スタンプ、J・シムカスのキャスティングで観たい気もします、
解釈は人それぞれ、抽象絵画のように意味は後付されるもの・・という解説がありましたが、私はこの映画のもつ雰囲気が好きです。
「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理 (講談社現代新書)
人間の「欲」と経済の関係を、歴史や国内外のいろんな角度から論じている。
今の民主社会では、国民がモノ(や情報)を消費していかないと世の中が成り立たない。
どんどん新しいものを作って売り、買い換えが促進されないと経済は滞る。
そのために、欲望自身も作られ、わたしたち消費者も自ら欲望を探している。
なぜこうなるのか、その背景や史実を参照しながら、ロジックが分かりやすく頭に入ってきた。
各章冒頭では、全章までの流れが復習でき、少しずつ読んでも親切な構成。
筆者の立場は中庸で、何をすればよいのかの答えはないし、モラルについては言及していない。
でも、経済問題の本質を捉えているように思う。
あたりまえのようだが、「欲しない(なくなった)」ところに市場はない。
会社勤め(特にメーカー、販売)をしている人は一読の価値があるかと。
今の民主社会では、国民がモノ(や情報)を消費していかないと世の中が成り立たない。
どんどん新しいものを作って売り、買い換えが促進されないと経済は滞る。
そのために、欲望自身も作られ、わたしたち消費者も自ら欲望を探している。
なぜこうなるのか、その背景や史実を参照しながら、ロジックが分かりやすく頭に入ってきた。
各章冒頭では、全章までの流れが復習でき、少しずつ読んでも親切な構成。
筆者の立場は中庸で、何をすればよいのかの答えはないし、モラルについては言及していない。
でも、経済問題の本質を捉えているように思う。
あたりまえのようだが、「欲しない(なくなった)」ところに市場はない。
会社勤め(特にメーカー、販売)をしている人は一読の価値があるかと。