このCDには、次の7曲が収められています。
DISC 1
ハープシコード協奏曲 ヘ短調(作品番号なし)
同 ヘ長調 Fk.44
同 ホ短調 Fk.43
DISK 2
ハープシコード協奏曲 ニ長調 Fk.41
同 イ短調 Fk.45
2台のハープシコードのための協奏曲 ホ短調 Fk.10
同 変ホ長調 Fk46
指揮・ハープシコード クラウディオ・アストロニオ
ハープシコード マルコ・ファッキン(2台め)
演奏 ボーゼン・バロック・オーケストラ(ハーモニチェス・ムンディ)
ボーゼン・バロック・オーケストラというのは、指揮者・チェンバリストそしてオルガニストでもあるアストロニオによって、2006年に北
イタリアのヴォルツァーノで創設された楽団ですが、もともとヨーロッパで古楽器演奏楽団として活動していたハーモニクス・ムンディがその主体だそうです。
演奏自体は、若々しさに溢れ、極めてエネルギッシュ。聞いていて清々しさを覚えます。
お勧めはDISC1の作品番号のないヘ短調。W.F.バッハの作品のなかでも有名なものの一つですが、アストロニオの演奏には荒野を駆け抜ける
疾風のような荒々しい凄みがあり、特に1楽章のカデンツアは聞き応えがありました。
また、2楽章前半部に、この時代には信じられないような美しいメロディーが出てくるのですが、これがフリーデマン・バッハらしく一度しか現れないところ、アストロニオは2楽章後半のカデンツアでこのメロディーをそのまま用いて演奏。不均衡とか歪とか言われるフリーデマン・バッハの作品にしっかりとした安定感を与えています。これだけでもこのCDを入手した価値があったと思いました。
DISC2の2台のハープシコードのための協奏曲変ホ長調Fk46も印象的でした。ホルンやペット、打楽器も加わり、ちょっと落ち着いたマンハイム楽派のような雰囲気です。3楽章ヴィヴァーチェではマイナー転調後の2台のハープシコードの絡み合いが見事で、スピード感に溢れ、息を止めて聴いてしまいました。閃きと感性の作曲家W.F.バッハの魅力が十分に伝わるCDです。
録音レベルもよく、これからの楽しみがまた一つ増えました。