もう15年くらい前のドラマですが、素晴らしい出来です。キャストは主演の豊川悦史をはじめ、夏川結衣、
佐野史郎、
鈴木杏、
永作博美、前田吟など、今から見ると超豪華です。ストーリーも、撮影に入る前に全話の脚本を完成させていたそうで、俳優陣も先の事まで考えながら演技できるため、脚本家はこの作品を相当大事にしていたのだと思えます。また、ほぼオールロケで製作においてもかなり力を入れていたことが伺えます。
ストーリーは第1部と2部に分かれており、1部は駅員を勤める男が、転校によって男が勤める駅から学校に通う少女と知り合い、その母親と恋におち、娘を連れて3人で北へ逃げる話です。2部では既に母親は亡く、今度は成長した娘とともに南へ逃げます。ストーリーだけ書くとシンプルですが、このドラマの良さは、とにかく地味だけど確かな心理描写を丁寧に描いていること。主人公の駅員が人妻に引かれていく過程、人妻が駅員に引かれていく過程、少女と主人公の関係、妻を取られる男の苦しみと怒り、といったメインキャラクターだけでなく、それを取り巻く主人公の父親、母親、主人公の幼馴染など、脇役も丁寧に描かれます。このドラマを観て、典型的な幸せのモデルなどはなく人の数だけ幸せの形があること、お金で幸せは買えない事、幸せは探し求めるものではなく作り出さなければならないこと、などを考えずにはいられませんでした。
最近は残念なことになってしまったGlobeですが、この作品の主題歌は作品の雰囲気にベストマッチしています。今でも
iPodに入れてたびたび聴いてしまいます。そして、重要なのが主題歌とともに映し出される映像です。この映像は話が進むにつれて変わっていき、その後のストーリーのヒントとなっています。芸が細かい!脚本の野沢尚さんは、既に亡くなってしまいましたが、他作品を見ても良質な脚本を生み出せる貴重な脚本家の1人だったので、早逝が残念です。あと、この作品の豊川悦史は本当に格好良いです!特に第一部!そして当時小学生の
鈴木杏ちゃんもとっても可愛いです。こんな娘が欲しくなります。