最初(第2話くらいまで)を観た感じでは、医療ドラマだがそれほど面白くないと感じた。だが、第3話くらいから、フェロー達やシニア達の人間模様、医療と一人の人間としての狭間で悩む姿、医師としてどうあるべきか…という点が語られだし、次第に面白くなる。特に最終回は圧巻だったと思う。
一般に医療ドラマというと、確固とした理想の医師像を具現化したようなスーパー・ドクターがいたり、悩みながらも揺るぎない理想を持った医師が主人公や主要人物として語られることが多かった。その中で若手の医師や周囲の関係者が「成長」する、というパターンが多かった。観ている側もその絶対的な価値観がある故に安心して観ていられる部分があったと思う。(他の医療ドラマが悪いということではなく、ストーリーの作り方や観点が異なるという意味あいで)
「コード・ブルー」では、シニアの黒田(
柳葉敏郎)や三井(りょう)あたりが、他のドラマなら医師像を具現化する位置にあると思うが、腕は確かでも欠点があったり苦悩する一面をもった人間として描かれる。むしろ、シニアも含めてフェロー達と共にドラマの展開の中で自分なりの医師像が追及されているドラマだと感じた。
その点で他の医療ドラマとは違い戸惑った面もあったが、ある意味ドラマとしてはよりリアルな面もあったのではないかと思った。
スペシャルは単発で、完結した物語になっているが、それと同時に前作からスムーズに続けて観られる。
前作が、フェロー達の成長を描いていたのに対し、スペシャルは一人前になり、独り立ちしていこうとする姿が描かれる。役柄の個性がしっかり定まり、キャストの演技は前作よりも安定している。児玉清、柳場敏郎等が巧く若手の脇を固め、引き締めている。
列車事故のトリアージ等はかなりシビアに描かれ、見ごたえがあった。