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精神看護 2014年1月号特集「処方薬依存」と「脱法ドラッグ」が大変なことになっておる対談:松本ハウスVS.向谷地生良

國分功一郎氏の新連載を読むためだけに、購入。
「中動態の世界」。ぞくぞくしながら読む。

國分さんの読者、もしくは講義の受講者なら周知のこのテーマが、バンヴェニスト
『一般言語学の諸問題』の執拗な引用とともに、密度濃くつづられる。

果たして、本誌を実践的に読む看護専門家にとってどれほどの有用性があるか、
と思う方は、かんちがいもはなはだしい。
「能動」でも「受動」でもない「中動」という視点は、もちろん
國分さんの発明ではない。だが、それぞれの関係を、言語学の問題ではなく、
「意志」の実否の問題として捉え直そうというところに、
まさに“行動する哲学者”國分さんらしさが発揮されている。
國分さんらしさ、といえば、スピノザは、
「行為の主要な原動力としての意志の存在を否定した」とのこと（p.087）

なお、本誌の本来の特集は「処方薬依存と脱法ドラッグ」。
それを意識したかのように、「意志の観念」を説きながら、
途中でちゃんと（笑）アルコール依存と薬物依存についても言及している。
かりにこれが、読者サービスだったとしても、國分さんの「サービス」が
けっしておざなりでないことは、その講演なり講義に接した人は知っているはず。

それから、既刊の國分さんの著書同様（専門書であれ新書であれ）、
この文章も、相変わらず「注」が、見逃せない。

ともあれ、隔月間の本誌、版元と編集担当者の策略にハマるのはシャクだが、
國分さんの文章の続きを読むために、しばらく購読するしかなさそう。

不満がひとつ。
國分さんの文章はすばらしいが、掲載されている誌面が読みづらい。
これは、編集の責任です。人気の哲学者を登壇させるにあたって、
精一杯シャレた舞台を用意したつもりかも知れないが、ヤリスギ。
図版も入ってないのに一段の途中で、字詰めが変わる。旋回する。
せっかくの文章の切れが、損なわれる。