昭和レトロにはまっているので、この本を眺めているだけでもとても楽しいです。
昭和ちびっこ広告手帳１を古本屋さんで見つけたのですが、２を探してもなかなかみつからなかったので、
こちらで購入できて良かったです。

幼い頃見て大好きだったので、これまでも定期的に風のフジ丸の映像商品はチェックしてきたのですが、うかつにも昨年の販売に気づかず先日注文したばかりです。
30年ほど前に東映動画スタジオ見学に行った際、風のフジ丸のみ小さな写真が1枚しか飾られていなくて悲しくなりました。質問したところ本編のフィルムがもう存在していないとのこと。その後ネット通販が開始された頃にも電話で問い合わせしましたが同じ返答であきらめておりました。
それが放映から50年近くを経て他社から全巻発売されるとは。
先にレビューを書かれた方の記事の内容から事情が分かりましたけれども、そういう後ろめたいようなことをしていたのでは然もありなんですね。

さて本編ですが、幼い頃見た子供向けTVマンガという印象のまま今見てみますと、そのしっかりとした内容とつくりに驚きを感じずにはおれません。
台詞を注意深く聞けば大人も納得する筋の通ったストーリー、今時のTVドラマなどでは聞くこともかなわない美しい言葉遣いに目を見張ります。
絵は今ではレトロ感のあるまるっこいキャラクターデザインですが、しっかりしたデッサン力があった上でのデフォルメがなされていますから動きにも非常に安定感があります。ただ後半、体は上手く書かれているのに顔の描き方に出来の良し悪しのむらがあるのが非常に残念ではあります。しかし作品全体として大変丁寧に作られておりました。これは作品紹介の静止画像を見ただけでは決して分からないでしょう。

まるで超能力としか思えないような荒唐無稽な術を繰り出し戦う少年忍者。当時見ていた子供たちの頭には忍者のイメージが強烈に形作られたことでしょう・・・自分も忍者マンガに影響されて毎日草の上を飛び越えたクチです。
前半竜煙の書にまつわる部分はとにかく文句なく面白い時代劇になっています。しかし後半の東映オリジナル部分も単純な勧善懲悪ではなく時には現代にも通じる問題にも触れており楽しめます。

幼い私の中でかっこ良くて分別があって頼もしいお兄様だったフジ丸さん。劇中で敵方があなたを形容する台詞に「12歳くらいの少年」とありびっくり・・・いやせめて15~16歳くらいではと突っ込んでしまいました（笑）　子供らしい子供は太助（太郎）が一手に引き受けているので、フジ丸さんは少年忍者といいつつもどうしても大人びて見えてしまうようです。
　

時は戦国、波乱の時代、でっかい心で生きようぜ....。
今見ても充分楽しめる作品です。白黒ですが、それがまたいい味を出しています。
残念ながら、一部作品です。出来れば、全話収録出来ると良いのですが。
当時見た人には、絶対お勧めです。
今のナルトに通じる物があります。