こだわり人物伝 2010年10・11月 バーンスタイン~愛弟子が語る/ショパン~魂の旋律 (知楽遊学シリーズ)
番組は見ていましたが、気がつかない部分を文字で確認すると一層大切な部分が見えます。
良いテキストと思いました。
ひと粒の宇宙 (角川文庫)
好みの作家が入っていると、つい買ってしまうアンソロジー。
30人いれば、読書好きなら一人くらいはヒットするだろう。
初めて出会う作家の作品もあって、そういう意味では面白いが
どうもホラーチックなオチの作品が多いのはなぜ?
優れた短編ならではの、人生を鋭利な刃物でスパッと
切り取ったような作品がもっと読みたい。
SWITCH vol.28 No.3(スイッチ2010年3月号)特集:東京事変[運動的音楽論]
シャネルを着こなし、フェンシングの剣をもった林檎さんが素敵で
アルバム「スポーツ」の製作中の林檎さんの姿の描写や
メンバー全員分のインタビューもあり
内容がかなり濃いものになっているので
事変のファンの方なら購入して損はないと思います。
また、林檎さんが描かれた大変可愛らしい絵が掲載されていたのも
個人的にとても嬉しかったです。
ドーン (100周年書き下ろし)
このタイトルからオクタヴィア・バトラーの同名SF小説を思い出した。本書では様々な小説、映画などに少しずつ触れているので、もしかしたらバトラーの作品のオマージュにもなっているのか?とも思う。ただ、内容に関しては地球外が背景、そこで起きることに多少の共通項があるだけで、テーマなどは違う。本書では冒頭から不穏な過去が示唆され、それが次第に明らかにされていく。
本書のテーマは著者の造語の「分人主義(dividualism)」。個人は分人の集合という。時代はちょっと将来のアメリカ。2033年の「ミッション・トゥ・マーズ」が中心となる。主人公の佐野明日人(あすと)は息子の太陽を東京大震災で失くし、医者から宇宙飛行士に転職する。地球の人口が80億を超えたため、火星移住をにらんだミッションに加わったのだが、そのミッションである出来事が生じる。そのため、「ドーン」というこのミッションが過小評価されてしまった・・・。
それにしてもよくアメリカの現状などを反映させ、いかにもありそうな近未来(エコバブル、ウィキノヴェル、ニンジャ・マラリアなど)を巧みに作り上げている。以前、青木淳悟の小説がピンチョン的というのをどこかで読んだが、この『ドーン』の方が、舞台がアメリカなせいか、ピンチョン的、と感じた。現実の問題と架空の事件、男女の問題がうまく配分されている。でも一番印象に残ったのは、こうした未来でも人は物語を必要としているというところ。物語の形式は必ずしも小説、ではないかもしれないが、物語るという行為自体はなくなりそうにない。
葬送〈第1部(上)〉 (新潮文庫)
この物語の主人公は、ショパンとドラクロワという二人の天才である。しかし私は、ショパンよりもドラクロワについての叙述の方が、作者はずっと力を入れていると感じた。絵画論や歴史観など、この時代をよく調べて書いているので、歴史の本として読んでも面白い。この巻は、まだ物語の助走の段階にすぎないのだが、ショパンが愛人の娘の結婚問題で頭を悩ませており、その天才的な美しい音楽とのギャップがユーモラスである。