三つ数えろ 特別版 [DVD]
ハンフリー・ボガードとローレン・バコール カップルの2作目にして、もとよりダイアログのピッチの速さには定評あるハワード・ホークス作品のなかでも最も複雑で展開が速い一本。レイモンド・チャンドラーの原作「大いなる眠り」にかなり忠実な脚本は、ホークスの前作「脱出」につづいてウィリアム・フォークナー。特典として附録するオリジナル未公開45年版との違いは、巷で噂されるほど大きなものではないが、ほぼ1年後に追加撮影されたのが殆どボガードとバコールの絡みであることからも、当時この二人の実生活でのロマンスが、一般市民にどれほど大きな関心事であったかを伺わせ、改めてハリウッドの影響力というものを思い知らされる。前作に続き挿入される歌うバコールと、それを見つめるボガードに、監督ホークスのこの二人への祝福が込められていると言えば読みすぎかw
余談だが、エディー役のジョン・リッジリーは器用な人で100本以上の映画に出演しているのだが、なんとなくその風貌が往年の田宮二郎を彷彿とさせる。
原題「THE BIG SLEEP」はチャンドラーの原作に同じ。「三つ数えろ」とは、ストーリーの展開から見てよくつけたと感心するのだが、小説のほうは原題に忠実に「大いなる眠り」であり、やや混乱する。できれば邦題も統一すべきではないか。
1メトロノーム
キャプテン〜ポニー・キャニオン時代の有頂天が好きなリスナーなら好きになれそう。
ピコピコしたチープな電子音とケラへのオマージュたっぷりの小林写楽のヴォーカルは癖になります。
ただやはり人を選ぶ音楽である、つまり灰汁が強いエッセンスと毒がありますので要注意。
反面、往年のナゴムレコードファンにはたまらない音です。
V系と敬遠されがちなまま解散してしまいましたがオリジナルアルバムならこのファーストをお勧めします。
ただ入手困難というのが仇になっていますが…
三つ数えろ 特別版 [DVD]
おそらく、ボギーことハンフリー・ボガートの俳優としての魅力が最大限に活かされた作品の一つに間違いないでしょう。レイモンド・チャンドラー原作小説『大いなる眠り』の映画化で、その複雑なストーリーをほとんどありのままスクリーンに投影した作品として知られています。それは、この映画の監督ハワード・ホークスの強い主張であったとのこと。スタジオの丸め込みに屈せず、独自の面白みがある企画に積極的に取り組もうとしたホークス監督の肝いりの作品らしく、「こんなことをやって当時受けたのか?」とも思われるほど複雑怪奇で入り組んだ語り口がこの作品をいっそう印象深く刺激的なものにしています。
名家の主、スターンウッド将軍に呼び出された私立探偵フィリップ・マーロウは、同家の次女で不良少女のカルメンをゆすり続けるガイガーなる人物の駆除を依頼されるが、出戻りの長女ヴィヴィアンはなぜかマーロウのスターンウッド家への出入りを面白く思っていない・・・。将軍もヴィヴィアンも、数ヶ月前に姿を消してしまったスターンウッド家の顧問弁護士ショーン・リーガンの行方が何故か気になっているようす。いよいよ仕事を始めたマーロウは予期もしなかった殺人事件に遭遇し、その背後に怪しき人物らの影がちらつき始める・・・。スターンウッド家と、これら怪しい人々らとの関係は?ヴィヴィアンはなぜマーロウを邪魔者あつかいするのか?リーガン弁護士の行方は?マーロウは数々の謎の解明に己の身を深くゆだねていきます。
複雑怪奇な難事件解決に没頭するボギーがかっこいい。周囲の人物を虜にする茶目っ気のある軽妙さと、いざとなれば決死の覚悟で大切なものを護り切る男気の双方を表してクールな快演。『カサブランカ』もいいのですが、この『三つ数えろ』も相当にいいのです。撮影当時、すでにボギーの妻であったローレン・バコールがスターンウッド家の長女ヴィヴィアンに扮してボギーと丁々発止やりあいます。流麗な美しさに加えて、本編ではハスキーな歌声も披露してくれていますので嬉しい限り。私生活のイメージも手伝って、二人の意気はばっちり合っているように感じられます。二つの物質が完璧な化学反応により一つになっているような感じというか、それほど無駄がなくシンプルでいて、かつ強い説得力のある二人のコラボレーションの見事さが銀幕から伝わってきます。
ホークス監督の演出は緻密極まりなく、複雑なストーリーをスピーディーな展開をふまえつつスクリーン上にあますことなく投影させているのは見事。またお家芸ともいえる特徴的なシークエンスを繰り返し盛り込むことで作品に強い個性を伏すことにも成功しています。本編の場合、カルメンを脅していたゆすり屋ガイガーの陰気臭い自宅をたびたび鍵となる舞台として登場させているあたりにそんな工夫が垣間見えます。また、フィリップ・マーロウというキャラクターは監督が生涯テーマとして追い求めた「困難に直面しながら、信念を持ってやり遂げる人間の姿」を体現する存在。長い間ただの娯楽映画を撮り続けたB級監督と揶揄されてきたホークス監督。しかし実は、たとえ万人受けしなくとも独自の信念を持って創意工夫の限りを尽くした娯楽映画作りに没頭した“作家”がハワード・ホークスという人でした。この『三つ数えろ』はまさにそんな彼の作家魂の証です。それに加え、映画音楽の巨人マックス・スタイナー作曲によるユニークなスコアも謎深まる展開にマッチして極めて印象的です。
ハードボイルドとはこれ。人生の困難に立ち向かう男とはこれ。どんなときでも優しさを忘れない男とはこれ。「いったいどうなっているのか?」何度でも観たくなってしまう刺激的なストーリーになぜか病み付きになってしまう稀有な娯楽映画がこれ。ホークス監督のパワフルな作家性に満ちたかっこいい要素が全編につまった、これは永遠のハードボイルドの逸品。
三つ数えろ [DVD] FRT-013
ハリウッド1のスター、ハンフリー・ボガート主演のハードボイルド傑作。
非常に入り組んだストーリーが特徴。
あまりにも複雑で、視聴者は置いてきぼりになるも多い。
数多くのキャラクターも、画質の悪さで判別しにくくなっているのはマイナスか。
しかし、さすが名作といわれるだけのことはある。
二転三転する展開、息詰まる駆け引きのスリルは別格だ。