Seven Up
アシュ・ラ・テンペルはブルース・バンドでギターを弾いていた若干17歳のマニュエル・ゲッチングと同じバンドでメンバーだったハルムート・エンケ、タンジェリン・ドリームを脱退したばかりのドラマー、クラウツ・シュルツェとのトリオで70年にベルリンで結成されました。当時のドラッグ・カルチャーの煽りをモロに受けたバンドは発狂したジミヘンやクリームのさながらの強烈なインプロヴィゼーションを展開します。本作はアメリカを追われ、たまたまスイスに亡命していたLSD研究家ティモシー・リアリー博士とのセッション・アルバム。M1の「スペース」はバッドトリップを音で再現したようなカオティックなサウンド。ブルースやロックンロール的なフレーズも所々に鏤められているためか、カオスの中にも??やかな酩酊感があります。M2の「タイム」は荘厳なオルガンがゆったりと流れる宗教音楽のようなアンビエント。この曲はピンクフロイドの「神秘」に似ていなくもないです。わずかに2曲しか収録されていませんが、どちらも長尺ナンバーなので聴き応え十分、トランシーな快楽的宇宙サウンドをじっくり堪能できます。
Friendship
2000年に結成30年を記念して、
Klaus SchulzeとManuel Gottschingの2人だけで再結成されたAsh Ra Tempel名義の最後のスタジオ作品。
1曲目は30分の大曲。
1970年とは異なるテクノロジーによってSchulzeがドラムスを再現し、
21世紀の新しいAsh Ra Tempelのサウンドが模索されている。
2曲目は、Schulzeのリズミカルで美しいシンセサイザー、ドラムシンセと、
Manuelのラテンフレーバーの軽やかなギターに癒される20分間。
3曲目のFriendshipでは、一転、冒頭からManuelのギターがひたすら泣きまくる。Schulzeは脇役。
このギターの重さは、Amboss、Schwingungen、Echo waves、Nightdustなどとは明らかに異質で新境地。
Friendshipという言葉とは裏腹に、友人HartmutやRosiを失った人生の哀しみに充ちているようだ。
26分間、Manuelの独白のような内的世界に引き込まれていく。
Ash Ra Tempel
ドラッグを決めてだらだら好き勝手にやっている。
この動と静の二曲はドラッグなんてやったことのない人間にさえ、
トリップ感を味わせてくれる。
ただ好きなことをやったら気持ち良かった、それ以上の音楽はない。
シュルツのどこどこドラム、エンケの何やってんのかわかんないベース、
そして十八歳の天才ゴッチングのギター。
トリオというロック最小構成の真髄を感じましょう。
New Age of Earth
タイトルに偽り無し、これぞ桃源郷の音楽。ダンスミュージックではないけど、きっとハウスが好きな人なら気に入ってもらえるはずです。あと、ジャケットも音に負けないくらいすばらしい。今まで知らなかったのですが、これからもっとこの辺の音楽を聴いてみようと思います。