ファット・ジャズ
1957年録音、全5曲収録です。J・マクリーンセクステットで、3管編成で、なんとtubaが入っています。通常は、バリトンサックスが低音を受け持つことが多いようですが・・しかも驚いた事に、R・ドレイパーこの時弱冠16歳だったというんですから、そして、5曲中3曲の作曲に関与しています。
1 アンサンブルから入り、マクリーンのソロ、W・ヤングのコルネットソロと続きます。哀愁をたたえたメロディーで、マクリーンの少しくすんだasの音よくマッチしています。2 アンサンブルから入り、マクリーンのロングソロ、コルネットソロ、tubaソロ、ピアノソロ、そしてアンサンブルで終わります。3 アンサンブルの後、tubaソロ、そして各自のソロが続きます。L・リッチー(ds)、G・タッカー(b)も好サポート。4 スロー・バラードです。短いピアノのイントロの後、各自のソロ・プレイが展開されます。しかし、こうも遅いとtubaは少ししんどいか?(事実、ソロの時間は短い)5 御存知マイルスの曲です。アップ・テンポで各自のソロが軽快に小気味よく展開され、ラストを飾るに相応しい演奏になっています。
何れもいい演奏だと思います。個人的見解ですが、1、5は曲調は全く正反対ですが、何れも素晴らしい演奏でこの2曲が私のベストです。
最後にタイトルですが、FAT、太った、脂肪の多い、転じて豊かな、贅沢なという意味になりますが、ジャケット写真に映っているいる物は、カロリーの多い物ばかりです。3管編成で、しかもtubaも入っていて、贅沢、豊かだ、という意味合いで付けたのかな?という気ががします。
ビート・ストリート [DVD]
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ずばりオールドスクール全開です。
まさかDVD化されるとは思いませんでした。
80’S HIPHOPに興味がある方は是非買いです。
ストーリー的、映像的には正直評価:星1つぐらいですが、
世界観、空気、音楽(エレクトリック・ファンク)でこれほど当時の
NY(たぶんブロンクス)を感じる事ができる映画は無いでしょう。
と、言うわけで:星5つ。
ブレイクダンスのテクニックこそ今見たらカナリ物足りないですが、
当時の世界最高峰レベルな事には間違いありません。
グラフィティ、DJプレイ、などなどテンコ盛りです。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ベスト・バロック100
ベスト100シリーズは、ジャズにしても、クラッシックにしても、楽曲間の雰囲気の違いが大きく、CDチェンジャーでランダムに聞いていると雰囲気・気分ががたがたしてしまう。でも、このバロックは比較的楽曲間の雰囲気の違いが小さくランダムでかけていてもずーっと気分よく時間が流れる。それでいて、楽器の組み合わせの違いなどから微妙な雰囲気の揺れもあってバックグラウンドミュージックとして最適と思えた。
ただ(やむを得ないことだが)全部収録しきれずに途中で終わってしまっている曲もある。その分だけ一つ星を減らした。でも、フェードアウトにも気を配っているせいか、あまり唐突な終わり方を感じさせず、無理がない。
絵でわかるマイルス・デイヴィスの生涯―マイルスの音はアートだった… (Scene of Jazz 1)
ジャズ本の中では異色。雰囲気のあるイラストと簡潔な文章で、特に音楽を聴きながら読むと最高! 文章が沢山書いてあるジャズ本は、音楽より文章を見てしまうから、なるほどこれはマイルスを聞きながら読み流せば、ジャズの楽しみをいっそう広げてくれます。
このシリーズの続編を期待します。
時間について―アインシュタインが残した謎とパラドックス
宇宙物理学者にして今や第一級の科学解説者であるデイヴィスの書いた本には大抵時間の話題が登場するが、本書は時間のみにテーマを絞り、集中的に解説したものである。専門家向けの著作としては既に『時間の物理学』が存在するのだが、ここでは一般向けにもう少し間口を広げ、物理学的素養の余りない読者でも読める様になっている。
基本的にはアインシュタインの業績に沿って、一般的な思い込みに反する相対論に於ける時間の概念を説明してゆくと云うスタイルを採っていて、著者自身の体験や学会を巡る様々なエピソードも適宜に織り込まれていて読み易い。自然科学者がその著書の中で哲学や文学と云った「思想」的側面について言及する場合、苦笑させられる様なミスリーディングが間々あるのだが、今回は余りその様なこともなく、始めの一章で古今の時間概念についてごった煮的に概観した後は、物理学の話題のみに集中出来る。
個人的にはもう少し突っ込んで説明して欲しい点も幾つかあったのだが、とにかくテーマが「時間」と云う一本に絞られているので、400頁そこそこと云うボリュームにしては割と網羅的である。ややマイナーな見解も混じってはいるが、論調は著者による独自の解釈を押し付けるタイプのものではなく、謎は謎として残しているので、大体安心して読み進めることが出来る。原書の書かれたのが1995年なので、専門家が見れば多分もう時代遅れになっている分野もあるのだろうなぁと思いつつも、取り敢えず時間についての物理学的知見をざっと知ってみたいと云う方にはこの本を一番にお薦めしておく。