ドニゼッティ:歌劇《愛の妙薬》 [DVD]
現在、このオペラのDVDは他にも数種類は出ているはずですが、絶対にこの盤が一番のお勧めです。とにかく主役二人の演技が絶妙ですし、いかにもこの喜劇にふさわしい楽しい舞台演出の数々や、軽妙にしてかつ充分に情熱的なオーケストラ伴奏など、このオペラの理想的な舞台であるといって過言ではないでしょう。これまで私が観たことのある数々のオペラDVDの中でも、最も皆さんにお勧めしたいもののひとつです。
ところで、このオペラは、確かに典型的な喜劇であるには違いないのですが、この作品のことを「ほのぼのとした」とか「ほほえましい」などど形容している評論には、私はあまり賛成できかねます。少なくとも、このディスクにおけるアラーニャらの歌唱と演技を観ている限り、これは真剣で崇高な愛の物語であり、たとえばモーツァルトの喜劇的諸作品などにおけるのと同様、笑いの中に真実があり、一途な情熱とほろ苦い涙とが感じられます。劇中、ストーリーの重要な複線として、『トリスタンとイゾルデ』の伝説について語られる点も、私たちとしては例のワーグナーの壮絶な悲劇的作品を思い起こさざるを得ず、この作品により一層の深みを与えているといえるかもしれません。
ハバネラ~オペラ・アリア名曲集
一流の歌い手と有名アリアが集められた、74分の豪華なCDです。
クラシックに馴染みのない人も耳にしたことのあるような、
有名曲も入っているので初心者にもオススメです。
歌詞カードには日本語訳、歌い手の簡単な紹介も掲載されています。
一番古いものは1968年ですが、録音状態もよく、音はきれいです。
「夜の女王のアリア」だけでも、この値段の価値は充分にあります。
ドニゼッティ:歌劇《連隊の娘》ミラノ・スカラ座1996年 [DVD]
愛するべきはドニゼッティのオペラです。音楽にしてもドラマにしても、プッチーニやヴェルディに比べれば「深さ」や「凄さ」で見劣りするのは確かですが、徹底した「楽しさ」そして純粋な「気持ちよさ」は認めないわけにはいかないでしょう。その「解りやすさ」を「底の浅さ」として片付けてしまうのは、たとえ一理あるにしても、それはあまりにも無粋に過ぎる態度です。
彼女は戦場でフランス軍第21連隊に拾われ、快活かつ美しく育った兵士たちみんなの「娘」。それが主人公マリーです。兵士の服を着て、男さながらに気風のよい彼女ですが、それでもやはり年頃の娘。青年トニオと互いに恋に落ちたりします。
しかしそんな彼女の運命は、ベルケンフィールド侯爵夫人の登場により急展開を。マリーは侯爵夫人の姪だったのです。パリに連れて行かれることになるマリー。連隊の皆とも、彼女を想うあまり連隊に入隊したトニオとも、離ればなれになってしまうのです。
愛する人たちと別れ、一変した境遇のマリー。いかなる運命が彼女を迎えるのでしょうか。彼女にとって何が「幸せ」なのでしょうか―――
歌の上手さ、演技のコミカルな楽しさも申し分ありません。演出も変に気を衒ったところがなく安心の出来です。全くのカキワリな背景が特徴的ですが、このオペラのマンガ的雰囲気にはマッチしています。全体的に好感のもてる良質の上演になっています。
最後に待っているのは、説明するのが野暮なくらいなまでのベタベタなハッピーエンド。嗚呼、何たる哉!この愛さずにはいられない幸福感!
愛しい友よ~イタリア・オペラ・アリア集
すばらしいの一言。
久々に感動するCDを購入しました。正直、森さんのCDはあまり期待していませんでした。
というのも、どれだけ彼女の良さが一枚のディスクに集約出来るのか と不安でいたためです。
しかし、思いは外れとてもすばらしい出来に仕上がっていました。驚くほどに彼女のいいとこどりですね。
CDジャケットにある彼女自身の紹介の中に、イタリアでの出来事や想いが綴られている。その中で愛しい人・・・それは歌であった事が書かれている。その想いのようにこのCDで歌われている曲は彼女の恋いこがれる人(歌)そのものだ。
とても良い。近年希に見るソプラノ歌手の登場に幕が上がる!
ベスト・オペラ100
主だったオペラが収録されており、比較的とっつきやすいCDだと思う反面、歌詞カードがまるで入っていないのが難点。
手頃な価格だけに歌詞カードを要求するのは強欲だとも言えるが、より深くオペラを知ろうとする人には不向きかも。
よくある教養本の類として考えれば充分な出来と価格なので星4つとしてみました。