ストレンジャー・コール [DVD]
ある意味ヘタに今時の凄惨なサイコホラー作品作りに走るよりも、
心理的なサスペンスを作ろうとする姿勢には好感もてます。
でも、ちょっと頑張りすぎの感があります。
とにかく昔ながらのサスペンス・アイテムは全部揃えたましたね。
人気のない屋敷…無防備なヒロイン…
黒猫…鳴り響く電話の音…天候の崩れ…夜の嵐…
誰もいないはずの窓に燈る明かり…
そして、腹に響く低音を強調した不安を掻き立てるBGM…
各シーンを盛り上げるのはいいのですが、演出に力が入りすぎると
映画の肝心なところのパワーを殺いでしまうという好例かと思います。
古い古い前作の方がその意味で
突然さと現実味がもっともっとリアルに感じられました。
不必要に響き続けている怖さを盛り上げるための音楽の使い方も含め、
とにかく気を抜ける部分がないためか(全シーンを盛り上げようとしてるのか?)
このストーリーで最もショッキングなはずの場面までに、
観客はそれを受け止めるだけの準備を充分にさせられてしまっているのです。
予想外…という展開へのショックがないのです。
「エっ!?ウソっ!?」と、思わず息を呑んで口に手を当ててしまうような
ショックの効果が削がれてしまってるのです。
アメリカサスペンス映画の原点的な作風と、
頑張りすぎでも、ある程度効果を挙げていた演出にも
一定の評価はして、星は三つ。
でも、個人的にはこの原型となったといわれる
70年代のオリビア・ハッセーの「暗闇にベルが鳴る」と同時期の作品である
「夕闇にベルが鳴る」の方が、さらにさらに怖かったです。
dot. [DVD]
TSUTAYAなどではサスペンスコーナーにありますがサスペンスを期待して観ると少し肩透かしを食らいます。サスペンスというより暗い青春をテーマにした純文学風。最後に殺人が起きる(これがこの作品のクライマックス)。
主人公はエリシャ・カスバートではなくカミーラ・ベルですね(ドット役カミーラだし)。エリシャはこの作品では制作にも関わっていてあえて脇へまわっているようです。自分の個性をよく把握しているクレバーな彼女の一面が伺われます。
物語はドットのモノローグから始まり、モノローグは随所に出てきて絶妙のフックに。そして内容がとても素敵。彼女はベートーベンを崇拝し(特に聴覚を失った後の)、一人でいることにとてもこだわっている。ろうあ者であるのにモノローグ?なぜ孤独を守ろうと必死なの?この作品の最大のミステリーは彼女の心の秘密です。本当の理由が胸を打つ。
メイキングもインタビューもオーディオコメンタリーもないのはちょっと残念。小品ですが佳作です。カミーラ・ベル出演のまともな映画ってひょっとしてコレぐらいしかないのかなぁ…他はバカ映画ばっかりみたいな…。
PUSH 光と闇の能力者 [Blu-ray]
本作の舞台は香港だ。それなのにアジアの「香り」が薄かったのが惜しい。魚市場とか中国料理とか、そういう「形」でしか表現できないなら、ハナから本国(本作はカナダ映画)にセットを建てたほうがいい。超能力者がたくさん登場するのだが、これまた分かりにくく、デヴィジョンやらブリーダーやらの敵方も同じ能力を持っているから「追撃」のスリルもない。せめて政府系(?)のデヴィジョンはもっと権力の匂いを出した方がよかったと思う。それから近未来感に乏しいのも作風に合っていなかった。アクションシークエンスはほとんど室内ロケ&セットで撮られており、これを夜の綺麗な風情で撮れば違う迫力も出たのでは・・・。D・ファニングは相変わらず素晴らしいが、C・エヴァンスはいまひとつ「華」がない感じで(笑)。ミン・ナの役なんていてもいなくても良かったしね。C・ベルは絶対に写真の方が映える女優だ。物凄く綺麗なのは分かるが、目じりが下がっているので、どうしても「いい人」にしか見えない(笑)。ということで本編はいまひとつだったが、特典映像は魅力的だ。メイキングがHD収録なのも嬉しいが、特にダコタとクリス&監督のコメンタリーが楽しい。泣く演技が絶品のダコタに対して「どうして完璧に泣けるんだ?」とか「大人になったらトクするぞ」とか、ストーリーとは全然関係ないコメントも多くて笑える。ちなみに日本からもヒロ・ヤマノウチが出演している。星は本編2つ+特典ひとつで、合計3つです。
PUSH 光と闇の能力者 [DVD]
個人的にはまあ普通かな、というとこです。役者さん自体や見た目は結構魅力的でしたが、少し人物像が薄い印象を受けました。超能力を起用しているので、もう少し華やかなアクションがあっても良かったのでは。内容は難しくなくサラッと観れる感じです。
紀元前1万年 [Blu-ray]
劇場に入ったタイミングが悪かったため、目当ての作品の上映までの時間つぶしに観て以来、よもや地上波で放映される日が来るとは思ってもいませんでした。
たぶんグラハム・ハンコックの「神々の指紋」を読んで、「1万2000年前ってどんな時代だっけ?」と調べているうちに「おおおお、マンモスいたんぢゃん!」と気づいて、とっても素直につくったんだと思います。次作が「2012」だし(観てないけど)。きっと日本から『ムー』を取り寄せて読んでますよね。この人は。
「世界ふしぎ発見」の再現映像と比較して、評価するのが正しいのではないでしょうか?