男たちの旅路 第1部-全集- [DVD]
一部もその伏線としては観ておくべきでしょうかね。水谷豊の跳ねっ還りの演技も見物です。当時の若者がどういう感じだったのかが良く分かる。それに対する鶴田浩二扮する吉岡司令補・・・いかに当時の若者たちが生きる上での軸が無かったのかが良く分かります。ただ楯突くだけで、確たる信念が無い。ただ命令されるというだけで楯突いてしまっていたようだ。それもこれも突き詰めれば「戦争に負けた事が全て」と言えるだろう。勝っていればこうはならなったのに・・・と深いところまで考えてしまいます。
男たちの旅路 オリジナル・サウンドトラック(紙ジャケット仕様)
このドラマが放送されていた当時、父は酒びたりで夜は遅く、母は知り合いのふぐ料理屋で夜のパートの仕事をしていました。
母が作り置きしていった冷たい夕食を食べ終わるとこのドラマが始まります。
2コ上の兄と二人で静かにテレビに向かっていました。
涙が出ます。
この音楽はテレビがとても優しかった時代、テレビがとても高尚だった時代の貧しい僕たちへの素敵な贈り物でした。
見ていた人にはきっと脳裏にあの名場面が蘇ると思います。ほんの少しでも幸せを感じることの出来るサウンドトラックです。
男たちの旅路 第3部-全集- [DVD]
この作品は最高ですネ。
簡単にいうと「シリアスにも面白く、コミカルにも面白い」からです。本当に優れたものはコミカルにもシリアスにも長けた才能があるもの。これもその一つ。笑えるし、考えさせられるし、ジーン・・・と来るし。話の底流がシッカリしてます。シッカリした脚本、シッカリした演技者達、それらを固める大勢のスタッフの方々。最近こういうの、無いですよね。ブッチャケ・・・どうして最近の(特に90年代に入ってから・・・)テレビドラマはこうもつまらないんでしょう。底が浅いんですよね。見ても「五分・・・」いや、10秒と持ちません。この第三部の中の「墓場の島」は良いですよ。面白い。
男たちの旅路 第4部-全集- [DVD]
男たちの旅路 第4部-全集-に収められた「車輪の一歩」を見た時、その内容の素晴らしさを誰かに話さずにはいられない気持ちになりました。
本当に自分が影響を受けてインスパイアされるテレビドラマなんて、一生の中でそんなには出会えないものですが、この作品には、間違いなく強く強くインスパイアされました。
ドラマ冒頭の、絶望的な表情の車イスの若者たち。なぜ彼らがそのような表情をしているのか・・その謎はドラマが進行していく中で次第に明らかになっていくのですが・・・
不遇に生きていかなければならない悩みと悲しみ・・それでも強く生きようとする人の気高さを、この作品は、脚本の山田太一を中心として、最高のテレビドラマ職人たちの力で見せてくれました。
ちなみに、新人時代の古尾谷雅人や京本政樹が車イスの青年として熱演しているのも見所です。
おれは男だ! Vol.1 [Blu-ray]
日テレの青春ドラマの王道は,「青春とは何だ」「これが青春だ」の路線.
夏木陽介や竜雷太や村野武範が主演してゐた,汗くさい青春ドラマだった.
これらは東宝の制作で,初期には石原慎太郎が企画や脚本で参加してゐた.
自由を謳歌し,現状を肯定する,いかにも戦後民主主義的な能天気さが鼻につく.
体制派のドラマだから,ストレートに明るくマッチョが基本路線だった.
一方,森田が主演してゐたシリーズは,松竹の制作で,あやしい暗さに満ちてゐた.
「おれは男だ」といひつつも,女々しすぎる男子生徒たち.
そこには,社会の現状を肯定する能天気さはどこにもない.
女だらけの舊女子校に入学してきた青春野郎がひきおこす珍騒動といふ設定の
少女漫画を原作としたドラマは,どこまでも不条理劇だ. 海のバカヤロー.
現実はドラマとは逆で,石原は不健康で陰険な男だし,森田は今なほ突き抜けた青春ばかだ.
青春ドラマは石原のマッチョな願望を投影したものだったので,素直な虚構を楽しめるが
不条理ドラマの中のパロディ的人物であった森田は,現実世界でも石原のパロディになって
余生を送ることになったといふ一筋縄ではいかない虚構を今も生きてゐる.