一週間
人間が作り出した国家の持つ矛盾、戦争の不条理さ、人間そのものが持つ不合理さ、ちっぽけさ、でも夢を追う力、生きる力など盛りだくさんの井上文学は、だから人間が面白いと教えてくれます。
最後の晩餐に、ひとつひとつの言葉を噛み締め、じっくり味わわせてもらった最高の食べ物でした。
モッキンポット師に始まって、本当に長い間楽しませてもらいました。有難う!
しろばんば (新潮文庫)
井上靖さんの幼少時代の自伝とも言われているこの本。 一番最初に読んだのは小学校の時、教科書ででしたが 大人になってから読んでも新鮮です。 自分の家庭の複雑さを子供ながらに感じ、 おぬいばあさんを自分の両親よりもかばう洪ちゃの姿が印象的でした。 昔の生活や食べ物、季節の描写も多く、 洪ちゃとおぬいばあさんの様子が頭に浮かび
本もするすると読めると思います。
おろしや国酔夢譚 (文春文庫 い 2-1)
数ヶ月の漂流。その後アリューシャン列島に漂着→カムチャッカ→ヤクーツク
→イルクーツク…(順番合ってるかな?)
極寒の地での異国の人との越冬。言葉も習慣も食べ物も気候も何もかもが
違う世界。次々に死んでいく仲間達。果たして自分達は国に帰れるのか?
というか、生き続けられるのか?
ドキドキしっぱなしですよ。この本を読んでいる時は。想像を超えた世界。
しかも、実在した人物だなんて。はからずも彼らは十数年にも及ぶ大放浪
をすることになったわけですが、これってどうなんでしょ。
考えようによっちゃものすごく刺激的で楽しかったのではないでしょうか。
ま、当人達はそんな余裕などなかったのでしょうが。見知らぬ地で常に
極寒による死と向き合わざるを得ない毎日。先進的な欧米文化を目の当たり
にした江戸時代の外国人など見た事もない彼らは何を思ったんだろう?
江戸時代の日本人のロシア大冒険記。ワクワクしますよ!
氷壁 (新潮文庫)
登山のメーリングリストで「山の本でお勧めは?」と問いかけて一番に推薦してもらったのがこの本である。切れたナイロンザイルの謎を中心として、様々な人間模様が展開されていくのだが、丁寧で細かな山岳風景の描写に助けられて、山の素晴らしさと厳しさが良く伝わってくる名作である。「山岳文学の最高峰」というキャッチフレーズも嘘ではないと思った。映画化もされたようだし、この本が出版された当時大変な登山ブームがわき起こったというのも分かるような気がする。山を愛する人にはぜひ一度読んでもらいたい、お勧めの一冊である。
氷壁 [DVD]
人の生死、緊張感、究極の判断、うらぎり、まっすぐなだけに傷つく人たち、そんな私にとってとても苦手な内容のあるドラマだったのですが、見てよかったと心から思いました。
ただのひとつのテーマがあるわけでなく、人はそれぞれいろんな生き方があるのだと、それぞれがそれぞれに頑張って考えて生きていて、何が幸せかはそれぞれなんだよねと考えさせられるドラマでした。
なぜそんなにまっすぐなのかと、自分はどうするだろうと、あまりに本気で感情移入してしまって途中辛くて見てられないって思ったりもしたのですが、本当の人間の優しさにどんどん引き込まれ、そして一気に見てしまいました。玉木さん、石坂さんが良かった。またもう一度見たいと思いました。
そして山登りする人って分からないってずっと思っていたのですが、奥寺さんの言葉で少し分かった気がしました。見てよかったです。