10th/テンス
竹村氏が自身の音楽活動の区切りとして「10th」(10枚目)と銘打った記念碑的アルバム。彼はこの直後音楽活動を休止することを発言している。
内容は前回「ソングブック」で見せた「人間の声」を一切排除し、スピーチマシンというものを使い、機械で歌わせるというという、丁度前回のアルバムと対になる内容。機械の声は非常に有機的に電子音と絡み、非常にゆったりとした空間と、同時にドキドキする瞬間を届けてくれる。
スピーチマシンがひょっとしたら苦になる人もいるかもしれない。また、彼にはまだまだ作品をリリースし、傑作を送りだして欲しいという気持ちから、4点。休止するには早すぎるよ。
TNT
一曲目「TNT」から何か新しいことが始まるそんな予感に
満ち溢れている、そんなアルバム。
実験的な音楽というとどこか取っ付き難いようなそんなイメージが
拭えないけれど、この作品はどこまでもポップ。
奇跡的な作品だという人も多いですが、確かに色々な偶然が
重ならない限りこういう音楽は生まれないかもしれません。
僕らに出来ることは一曲一曲に耳を傾け音楽の来るべき未来について
ただ再考することだけです。
私生活
私は美しいものだけを見て生きていたい。できることなら、
汚いものや破滅的なもの、嘘にまみれた大衆娯楽的なものから目をそむけて
日々を送りたい。そんな風に考えながらここまで暮らしてきた。
ここには頽廃的かつ耽美なひびき故に美しい輝きを放つ言葉や音がある。
そこにしかないメロディー、音色。もろく儚い刹那の煌きがいやになるほど感じられ、
その極点に達したとき人は本当の生きることの意味を見出す。
私はこの音があれば自分の生活をより豊かなものにできるだろう。
私はこのアルバムを中古で買ってしまったが、
たった420円の価値以上のものが明らかにあった。「all this time」
この1曲だけでも十分に1000円以上の価値はある。
KIRINJI RMX(2)
リミックスとは解体し、解釈を加えて再構築する作業です。ゆえに既にあまりにも完成されてしまっている楽曲の姿は、リミキサーを、そしてリミックス品を聞く私たちをも尻込みさせるものです。
ですが、安心してください、そこ行くお兄さん&お姉さん!
決して楽曲は死んではいません。壊れてもいません。そのエッセンスは凝縮されて、新しい形で紡ぎ出されています。完成と解体。そのぎりぎりの境界線の上にこのアルバムは存在しているのです。それを中途半端とみなすか、愛ゆえにと涙するか、その判断はあなた次第。
珠玉のメロディと職人たちの愛と技が集結したこの傑作を聴き逃すのは、本当に損ですよ。
(なかでも「悪玉」はいろんな意味で最高でした(笑))