「パッチギ!LOVE&PEACE」オリジナルサウンドトラック
(1)イムジン河(Lim Hyung Joo with Ohiro Minato)
(2)駅での乱闘騒ぎ
(3)チャンス,学校に行く
(4)浜辺のキョンジャ
(5)済州島・西帰浦
(6)漁船での脱出,そしてヤップ島へ
(7)ピチピチ水中運動会(加東カズヒコ&Funky Kim−Chie)
(8)深川サンダル加工
(9)朝鮮第二初中級学校のみんな紙芝居を見る(パンソリ Played by Kazuhiko Kato)
(10)ズージャ・ミッナイ(Oscar Davis Jr.Trio)
(11)Into the Dragon
(12)ヤップ島のジャングル
(13)佐藤くん生い立ちを語る
(14)玄界灘の闇取引
(15)アリラン(Lim Hyung Joo)
(16)「古い奴だとお思いでしょうが」
(17)病院でのアンソンとキョンジャ〜「アボジが守ったる」
(18)試写会〜ヤップの戦闘
(19)アリラン〜イムジン河
(20)劇場での乱闘〜イムジン河(Lim Hyung Joo)
(21)虚しい闘いはもういやだ
(22)チャンス,自転車に乗れたっ!
(23)あの素晴らしい愛をもう一度
(24)イムジン河(Lim Hyung Joo)
僕の見た「大日本帝国」
こうしたテーマを扱うとき、普通、書き手は「入れ込み」すぎてしまうものだと思うが、この本は遠近のバランス、複眼単眼のバランスが非常にうまく取れていると思う。肩肘はることなく、ニュートラルで自然体なのだが、自然体の分、自分の知らない歴史や事実と出会っていく旅の様子がスリリングかつビビッドに伝わってくるのだ。
思うに、これは1970年生まれ(以降)という世代に共通の感覚なのかもしれない。同じ1970年生まれの三崎亜記は『となり町戦争』についてのインタビューの中で、「僕らの世代は「戦争に対してイエスかノーか」で簡単に結論を出すことができない」という趣旨のことを語っていたが、この本の著者にも同じような感覚の根っこがあるように感じられた。ローレライの福井晴敏はもう少し若いが、こうした若い書き手がそれぞれの方法で「戦争」というものに向き合い表現しているのは興味深い。本書はノンフィクションだが、今を生きる若い世代の「戦争感・観」を考える時、そうした文脈の中でも語られるべき貴重な作品だと思う。
South-ing JEEP ISLAND
自分の知る世界だけがすべてではない。日本で長く暮らしていると、これほどシンプルな事実さえ頭をよぎらなくなる。多くの人との出会いがあっても、真の接点がない生活の連続に、気づかないうちにも、疲れが蓄積していく。気づかないことが一番怖いのだ。
この本にぎっしりと詰まった写真に目をやると、にわかに心がほぐれてくる。ダイバーと戯れる幻想的でさえあるイルカの群れ。水の色は蒼く濃い。島を全方向から囲む、突き抜けるようで開放的な空の青さとは違い、ゆっくりと心に浸み込んでくるような蒼さだ。無条件に優しいイルカとの遭遇−もちろん、写真の中に見える、人ごとなのだが、癒しが伝わってくる。
本書は写真がメインだと思う。イルカ伝説や海賊、ダイビング、無人島生活の話など、非常に興味深いエッセイがいくつも収められているが、それ以上に宮地氏の写真から伝わってくるものが大きい。屈託ない周辺島民の笑顔、ヤシの木がシルエットとなる魅惑的な月夜の情景、そして光輝いく珊瑚の海など、心を開放してくれる写真が多く収められている。
少しペースを緩めて、遠くを眺めてみたいという方にお薦めの一冊だ。