トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)
トムはソマセットの名士オールワ―ジ氏のベッドの中で発見された捨て子です。母親と目された女性は頑として父親の名前を明かそうとしませんでした。オールズワ―ジ氏はこの子を育てることにします。いたずら好きなトムは養父をさんざんてこずらせましたが、長じるに及んで森番の娘に手を出し、とうとう屋敷から追い出されました。トムを慕う隣家の令嬢ソフィアも、オールワージ氏の甥ブライフィルとの縁談をきらって家を飛び出します。
トムはソフィアという申し分のない恋人がありながら、行く先々でいろんな女性とねんごろになります。まことにけしからんヤツですが、本人はいたって正直で親切であけっぴろげな憎めない若者です。陽気で勇敢な青年の愉快な冒険譚ですから、あまり目くじらを立てないで楽しみましょう。構成のしっかりした面白い小説です。朱牟田夏雄の翻訳は、いささか古めかしい言いまわしが目立ちますが、すらすら読める名訳です。
レッド・オクトーバーを追え!アドバンスト・コレクターズ・エディション [DVD]
いかにも男性向けというアクションものであるにもかかわらず、女の私を惹きつけてやまない作品がいくつか存在します。
この「レッドオクトーバー」はその代表格。
一体何度見返したか分からないほど、大好きです。
とにかく、オープニングが最高。
プロコフィエフ風の、荘厳で、どこか哀切を含んだ合唱曲がおごそかに奏でられる中、
原潜レッドオクトーバーが、ふるさとソ連の、低く垂れこめた灰色の空と海を切り裂くように出港していく。
このシーンの、文句なしのカッコ良さ。美しさ。
痺れます。これだけでもう勝負あったという感じです。
音楽と映像がこれほど見事に溶け合う離れ業は、めったに見られるもんじゃありません。
作り手の才気を嫌というほど感じさせられます。
ショーン・コネリーも絶品ですね。
「ザ ロック」でもそうでしたが、彼が現れるだけで、画面が豪華に、そして、どこか艶っぽくなるような気がします。
美貌が絶頂期にあったアレック・ボールドウィンも出ているし、実は、女性に対するサービスも万全の作品なのかな。これは。
女の私がかくも惚れ込んでも、さほど不思議ではないのかも知れませんね。
変化の速い今のご時世。
この名作もすでに「ひと昔前の映画」の仲間入りをしているのかもしれませんが、今見直しても古い感じはまるでしません。
アクションものはあまり見ないという女性でも、肩肘はらずに楽しめると思います。
たまには、ステキな艦長と、原潜で海底クルーズとしゃれこみませんか。
トムとジェリー セット1 【VOL.1~4】 [DVD]
内容については言わずもがなでしょう。何十年も前の作品とは思えないほどの傑作です。
昔再放送を見ていた世代が、その子供と共に楽しめる名作です。アニメ作品としては一押し。買って損はしないと思います。
購入を検討している方の中には、新シリーズと旧シリーズの割合が気になる方もいるのではないでしょうか。
気になったので数えてみたところ、全60本中ハンナ&バーバラ物が48本、チャック・ジョーンズ物が12本でした。
新シリーズが少なめなのも個人的にはいいと思います。
ただ内容とは関係ないですが、ケースがとても安っぽいです。
厚紙のジャケットにぺらぺらのプラケースとは、いくら廉価版とは言えあんまりでは?(これがマイナス1ポイントの理由)。
もしコレクターズアイテムとして購入を検討されるのであれば、少々高価でも単品物を購入する方が満足度も高いと思います。
正直この点についてだけは後悔・・・。
拳闘士の休息
トム・ジョーンズ著「拳闘士の休息」は、村上春樹さんも紹介したことのある短編集です。
主人公は何らかの障害(癲癇が多い)を持っていることが多く、それだけ聞くと暗い印象を受けるかと思います。
しかしトム・ジョーンズの語り口、そして訳者の岸本佐知子さんの翻訳はテンポ良く、リズムに満ち、シニカルな口調が憂鬱さを笑い飛ばすどころかそのベクトルを変化させ、軽快さに近いところまで持っていくのでした。
頭の上を黒い影が通り過ぎて、目をつぶって息を止めたくなったその瞬間、見える光があるだろう。
おがくずが頭が詰まっているよう感じた時の、お勧めの一冊。