怒りのぶどう 上 (岩波文庫 赤 327-1)
子供の学校の感想文を書くために買い求めたのですが、なんと上下巻だけではなかったんです。本当は中巻があったんです。買う時はどうかお気をつけてください。結局この本の感想文は書けませんでした。残念!!!
The Grapes of Wrath (Penguin Classics)
日本人も苦労したけど,アメリカ人もずいぶん苦労したんだなあ,としみじみ感じさせてくれる一冊。
舞台は二次大戦前のアメリカ。
大資本による大規模農場経営の台頭によって零細農家の生活が圧迫されつつあった時期,それに追い討ちをかけるように大規模な砂塵嵐が発生して農作物が壊滅的打撃をうけるという事態が起こった。
流民と化した農民は職を求めてカリフォルニアへと大移動を始める。
しかし,希望の新天地カリフォルニアで実際に彼らを待っていたのは,さらなる貧困と差別であった。 流民の多くがオクラホマ州からやってきたことから,彼らは 『オーキー』 という蔑称で呼ばれたりした。 ひとつの人間集団が他の人間集団に対して抱く偏見や侮蔑感情というものは,いつの時代でもどこの国でも変わらない。
怪物のような時代の波にのまれてしまった人々の辛苦と,人間社会における差別とは何かということを題材にして,人間がもつ醜さと残酷さを,これでもか,これでもか,とばかりに読者にえげつなく突きつけつつも,その中に永劫不変の人間の営みの美しさと逞しさを垣間見せてくれる。
70年も前に書かれた作品だが,斧で叩き割ったような切り口の文体は現代にも通ずる斬新さであった。
怒りの葡萄 (下巻) (新潮文庫)
探しても探しても仕事がない。仕事の絶対数がない。どんなに小さな仕事でも、仕事を選ばなくても、賃金を低く抑えられても、とにかく仕事がない。
というのは本当に大変!
自分は仕事で不満もあるけれど、この流浪の貧農たちに比べたら、住むところもあって食事にも困らず、医者にも行けるし、恵まれているんだな、と思ったりしました。
人間愛が書かれていると言われる作品だそうですが、たしかに、どんなに困窮にあっても人間的に素晴らしいし、生命力があります。特にジョードのお母っさんは大地にしっかり結びついている、生き生きした強い女性だと思う。
今の時代の私たちにこんな生命力があるだろうか?足りないような気がします。
怒りの葡萄 [VHS]
文豪ジョン・スタインベックの小説をジョン・フォード監督がみごとに映像化した映画史上に残る不朽の名作。政府の経済政策によって立ち退きを余儀なくされた主人公一家が新天地を求めて奔走する物語だが、仕事の需要と供給のバランスが著しく崩れていた当時のアメリカ社会で、過酷な労働、安い賃金、少ない仕事などの悪条件によって絶望的な現実を経験していきます。数少ない求人に対して大勢が応募してくるため、ひとりひとりの賃金が安くなってしまい、これに反発した労働者たちはストライキや暴動を起こそうとして、一家も巻き込まれてしまいます。映画全体を通して妥協を許さない徹底したリアリズムで描かれていますが、ラストシーンのヘンリー・フォンダ扮するトム・ジョードが母親の元を去るときに語る言葉は、象徴主義的であり、哲学的であり、宗教的であり、忘れられない名台詞です。豚のように生きる人々、少数の大地主と10万の飢えた農民、この世の中の一体どこが間違っているのか。この映画はそれを問いかけていると同時に厳しい現実に直面している労働者たちの人間としての尊厳を高らかに謳いあげた、優れた精神性を示した作品といえるでしょう。
ダスト・アンド・ドリームス~怒りの葡萄
アンドリュー・ラティマー(vo/g) 率いるイギリスのロック・グループ:キャメル、1991年発表作品。小説「怒りの葡萄」をモチーフに制作されたアルバムで、後に「キャメル復活の名作」と言われる。ストーリー仕立てで作られたサウンドトラックのようなヴィジュアルなサウンドと、ヴォーカル曲の覚えやすく優れた詞・メロディー。辛口の英国雑誌をして、「完璧!」と言わしめたアルバムだ。
内容:
アメリカの西部開拓史が舞台になっている。夢を求めて西へ西へと進む一家。しかしあるのは荒れた大地と貧しい生活だけ。しかしその中で希望を失わずに力強く生きる人々の姿が感動的に描かれている。
ヴォーカル曲「Go West」「Mother Road」「Rose of Sharon」「End of the Line」はいずれも前半に固まっている。合間に雰囲気を盛り上げるインストが挟まれており、ストーリーが目に浮かぶような構成になっている。で、このヴォーカル曲の完成度が凄いのだ。
♪西へ行こう西へ 果物が実り 誰もが微笑むカリフォルニアへ、と歌う「Go West」。軽快なエンジンの音を模したギターと、ルート66を西へと疾走する車を歌った「Mother Road」。女性ヴォーカル:マエ・マッケンナとラティマーのデュエットになっている「Rose of Sharon」は、新しく生まれた生命を歌う。
♪仕事を求めて、僕は長い列の一番最後に並ぶ と歌うのは「End of the Line」。疲れた表情を浮かべた無数の男達。俺達が求めるのは、生活・家庭・そして夢。いつか報われる日が来るのだろうか? 余韻を残して前半が終了する。
後半はインストで、まさにサウンドトラックのように身を任せればいい。キャメルというバンドはインストの描写力も重要な要素で、「えっ、後半は歌、無いの?」と言われるかも知れないが、騙されたと思って、聴いてみて欲しい。覚えやすい主旋律が満載だ。
手に入れるならば、出来ればPony Canyonから出ている日本盤が良い。丁寧な解説と対訳が付き、このアルバムをより深く理解する手助けになるだろう。8年の歳月をかけ、自主制作で作り上げたこの名作を、是非多くの人に聴いてもらいたいと思う。