金融ワンワールド 地球経済の管理者たち
疑史の眼は実に参考になる。 いずれ明らかになるだろうと誰もが思うことを 切り口の斬新さで 立ち込めた霧を取り払う・・・そして 直ちに全貌を明らかにしてしまう。 正に率直にて妥協を許さぬ洞察力には類例を見ない。 己が真似ても非なりを味わう。彼の前では 同じ頭脳にてどれほどの差があるのか と考えるのが愚かと知る。落合氏に比べられる著者がいたら教えて欲しい。
読者となれば(我もそうであったように)負けじと粗を探そうとする者も多かろうが 系統立てた史観を持たぬ者であれば それは達し得たと思い込むだけのこと。 その実は やがて錯誤の為す墓穴ワザと知る。
批判的に見れば見るほど 吸い込まれる不思議な魅力がある。 そもそも既存の既成概念で読む本ではない。 世に染められ 飼い慣らされた頭にても客観的な史実は知ろうに・・・ かような判断力に至り得ぬのは なぜだろうか?と思う。 我らに代わって 簡潔明快に 追随できぬ中央突破力を見せて 独走してくれるのが落合氏 と思う。それにも増して瞬時に引き込む博覧+見識には敬服した。開かずの扉を開いてくれる落合疑史の眼による検証結果を親友にも読ませたい・・・と もう一冊注文することにした。 思うままに書かせていただいた。
オババの森の木登り探偵
表紙の絵とタイトルを見たとき「あっ」という感じで手にしていた。私が子どもの頃の東京には何処にでもあった懐かしい風景であり、「探検」とか「遠征」と称して出かけたものだ。
主人公の木登り探偵が棲む「ツリーハウス」はその頃からの夢であり、大木の上や藪の中のくぼみを格好の秘密基地として遊びの拠点として、暗くなるまで遊びほうけていた時代を思い出させる。
懐かしさを実現している主人公は、そのまま読者である自分を写しているかのように物語に入り込める。自然から遠ざかってしまった都会人の抱える問題点と解決策を優しく示唆しているように感じる。
その当時は、自然の循環や生命の連鎖の大切さなどは意識しないが、水たまりに生み付けられたカエルの卵がいつの間にかオタマジャクシになり、カエルになる。二匹のトンボがくっついたまま水面に産卵する。しかし、その水たまりも、子供の水遊びで水がせき止められて乾いてしまうと産んであった卵も一緒にひからびる。「いのちのはかなさ」を実際に見つめてきた。仮想の世界で遊ぶのではなく、現実の森の中で虫さされや擦り傷切り傷といった小さな危険の中で身を守る知恵を身につける。その知恵を元に想像力を育むことの大切さを言おうとしているようだ。その知恵を与えてくれる小さな命たちを「気持ちが悪い」という都会人の理由で殺虫剤の犠牲にする。森は暗いから伐採する。土は汚いからコンクリートで覆う。
人間も自然の中に生きる生物に変わりないのに…。
ちょっと前まで田舎だった東京の変貌ぶりを目の当たりにしてきた作者の静かな怒りをも感じさせる。
すぐご近所のほのぼのとした小さな物語とも読めるし、都会に残ったオアシスのような緑の大切さと保存のための苦労の物語と読むかは、読者の楽しみ。
昭和20年代に生まれた人たちには、手放せない一冊になるのではないだろうか。
殺意の海―釣りミステリー傑作選 (徳間文庫)
釣りを題材とした推理小説7篇が収められている。
収められているのは、西村京太郎「幻の魚」、森村誠一「溯死水系」、西村寿行「海の修羅王」、久生十蘭「鎌いたち」、太田蘭三「寒バヤ釣りと消えた女」、平野肇「谷空木」、松本清張「眼の気流」。
正直なところ、どの作品もいまいちだと思った。まず、ミステリとしての完成度が低い。また、釣りや魚の描写に魅力がない。
書き手が悪いのか、釣りがテーマにしにくいのか・・。
人形草紙あやつり左近 ― オリジナル・サウンドトラック 1
WOWWOWのアニメをリアルタイムで毎週見てた口です。
ストーリー、キャラクターもさることながら、
その楽曲も本当に優雅で和的で、すごくいい。
特にオープニングのハミングバードによる「光なき夜を行け」、
エンディングの「叶えて」、「声」の三曲は叙情的なメロディに
ヴォーカルの声が際立つ、非常に美しい曲で、絶対に気に入ること
間違いなし。
ちなみに自分が買ったCDには右近の顔が描かれたコースターが
特典でついていた。