按摩と女 [DVD]
山の中の温泉場を舞台にした物語。
のんびりとした湯治場で、昔はこんな感じで温泉を楽しんでいたのか、と思える雰囲気がうかがわれます。馬車の定期便も時代を感じさせます。
温泉場という限定された舞台の中、主人公の按摩さんとヒロインを初め、何人かの人物の関わり合いの中で物語が進行。劇的な展開があるわけではありませんが、人生の機微がよく描かれていると思います。ほんのちょっとした気持ちのやりとりが、じんわりと伝わってくるような映画でした。このあたり、清水監督は本当に上手い監督ですし、今観ても古さをまったく感じさせません。
実はリメイク版(山のあなた)の方を先に観ていたのですが、リメイク版はこの清水版をかなり忠実に再現していることがわかります。特にリメイク版のヒロイン(マイコ)はこの映画の高峰三枝子に本当によく雰囲気が似ています。マイコさんも、相当研究して演じているようです。
「おじさん」役の若き日の佐分利信の演技も堪能できます。 尚、はっきりと断言することはできませんが、ロケ地は同じ監督の「簪」(川のシーン等)と同じ場所かもしれないと思いました。