パートナーシップ・生活と制度―結婚、事実婚、同性婚 (プロブレムQ&A)
わかりやすく、かつ詳細で正確な記述がなされている本である。
社会学、法学といった領域の研究者のみならず、様々な領域の第一線で活躍している執筆陣が執筆しており、幅広い関心にこたえるものとなっている。
法的な制度とその背景や国際状況といった「手堅い」テーマを解説するとともに、地に足のついた日常生活上の課題にも対応しようという編集方針が感じられる。「生活と制度」というタイトルにうそはない。
日常生活で制度に直面する当事者のみならず、基礎的な勉強をしたい学生、さらには卒論やレポートのテーマとしてとりあげるのであれば、必読の1冊である。
同性婚 (世界人権問題叢書)
日本国憲法は結婚を「両性の」合意のみに基づくと定めている。他方、アメリカ合衆国憲法には結婚について定めた条項は修正条項にも(現在のところ)存在していない。マサチューセッツやコネティカット、ヴァーモントなどの州では同性婚が承認されており、逆に南部を中心としたいくつかの州では同性婚禁止を州憲法に盛り込むどころか広く同性愛関係にも禁止や規制をかけているところがある。同性愛をめぐる日本とアメリカの状況が異なるだけでなく、アメリカの状況そのものも複雑である。そのアメリカの状況を理解するために最適な一冊が本書である。
著者のジョージ・チョーンシーは、20世紀前半のニューヨーク市におけるゲイ男性の世界を鋭く論じたGay New York(1994)という著書で知られる、気鋭の歴史学者。同書において著者は、現在のアメリカ人(ひいては日本人)には想像しがたいほど、20世紀初頭のアメリカ大都市ではゲイ男性の世界が相対的に可視的であっただけでなく、現代人が仮定するほどには彼らが排除も迫害もされていなかったことを明らかにした。本書は、そのような社会史的な厚みをもった著者の知見を生かした、入門的な書籍である。
邦訳タイトルにあるように、本書は同性婚の是非が熱い争点となった近年の状況に多いに紙幅を割いているが、前半では同性婚の問題のみならずより広くゲイ男性やレズビアンたち(と、彼ら彼女らを取り巻く環境)の歴史を概観しており、アメリカのセクシュアリティの歴史に関する入門的な書としても活用することができる。叙述は簡明にして近年のアメリカ史の研究成果を巧みに取り入れたものとなっており、また同性婚をめぐる論争の論点や裁判についてもわかりやすく紹介されている。
訳は読みやすく、訳注も丁寧で、アメリカ史やゲイ・レズビアン史に精通していない読者でも読み進めやすいようにできているので、初学者にお勧めできる。
Running to the rainbow
とってもポップで元気の出る、「Running to the Rainbow」。私的には、「Always Proud」by Galeと並ぶLGBTインディーズの名曲です。
歌詞も、曲も、アレンジもものすごく良く練られてます。
そして、「祝福」。Running to the rainbowの「前向きさ」もいいんですが、これは本当に泣かされます。心にしみるいい歌です。
同性パートナー生活読本―同居・税金・保険から介護・死別・相続まで (プロブレムQ&A)
同性カップルの方が付き合い始めると実際に突き当たるだろう疑問に、法権利的視点から、分かりやすい言葉で簡潔に答えてくれる良著。
同性カップル間での相続の方法は?事実婚できるのか?養子縁組は?外国籍のパートナーに滞在ビザをあたえられるのか?など、幅広い内容を法的根拠を持って扱っており、それでいて簡潔。
主に結婚に近い関係を望む同性カップル、そして全ての人に是非読んでいただきたい一冊。
ただ、当たり前のことであるが、記載されている内容は執筆時の情報であることに注意されたい。
特に、「婚姻要件具備証明書」の件については、本書出版後に法務省がスタンスを変え、同性同士のケースでも発行を可能にするという方針になった点に注意。(ただし実際に発行するようになったわけではなさそうなので、その点にも注意: http://www.news.janjan.jp/living/0904/0904211930/1.php)