ビル・ゲイツ未来を語る
1995年12月に初版が出版された本書で描かれている、情報化時代とコンピュータ産業の未来が、2005年の今再読すれば、既に実現しているか実現しつつあることに、深い感慨を覚えます。まさに人類の歴史のパラダイム・シフトを成し遂げた著者の思考回路の一端が伺える作品です。特に、「ポジティブ・スパイラル」を実現し、「ポジティブ・フィードバック」がさかんに自律的に行われることで、その産業、開発や事業案件が成長することが、読み取れるように思います。経営者層トレーニングのケース・スタディ教材に使いたい一冊です。
ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?
→マイクロソフト社という世界的に有名な会社が
世界のトップであり続けるために、世界中のエリートを集めています
..いや、実際は「集めている」というより、
「集まってくるエリートを、ふるいに落としている」
という表現の方が正しいかもしれません
→本書は、その「超エリート」を「ふるいに落とす」ために
「面接時の限られた時間の中で、難問・奇問のクイズを出し、解答させる」
という手法を使っている、この会社の背景と現実に迫ります
→もちろん、その難問・奇問のクイズと解答は知的好奇心を大いに満足させてくれます
ただ、その問題群の前にある背景も見逃せません
ハイテク産業の短くも激動の歴史
公平性を保ちつつ優秀な人を雇いたい会社側の論理
短い時間の中で自分の評価を下げずに解答にたどり着きたいというエリート側の心理、
そして、そもそもこのような面接方式が妥当かどうかの考察も..
→多湖 輝先生の「頭の体操」シリーズが好きな読者にはたまらないでしょう!
副題の「富士山をどう動かしますか?」の解答は、あまり面白いものではないですが
「秤を使わずジェット機の重さを量るにはどうしますか?」や
「鏡を上下でなく左右を逆転させるのはなぜでしょう?」の
問題&解答&「駆け引き」は秀逸です!
億万長者になってやる!という気迫で(実際の面接を受けている気分で)、
40問を超える問題に挑戦してみるのも楽しいと思いますが、いかがでしょうか..
ビル・ゲイツ―巨大ソフトウェア帝国を築いた男
ビル・ゲイツを取り上げた本は沢山ありますが、本書はその中でもベストと言えるのではないでしょうか。
歴史的にも興味深い箇所は、アルテア用にBASICを開発した時期、及びIBMから委託を受けDOSを開発した経緯、でしょう。様々なリソースを元に事実を忠実に追っています。その過程で、他書の誤りも指摘しています。
ゲイツは余りにも成功したので、敵も沢山いるわけですが、そのような人の辛辣なコメントと同時に、ゲイツを賞賛している人の発言も同じように取り上げています。このバランスが絶妙で、非常に公平な記述に思えます。
出版年が1992年ですから、Windows 3.0発表までしか扱っていません。それと平行して、今のOSの原点となるWindows NTに着手していたわけですが、その詳細は「闘うプログラマー」に記されています。又、本書では、マイクロソフトと同じくIBMを踏み台としたインテルの記述は驚くほど少なく、アンディ・グローブの名など一度も出てきませんが、インテルについては「インサイド・インテル」が良書と思います。
スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ (PHPビジネス新書)
著者がふたりの経営者を独断で評価、この対比はありそうでいままで特化されていなかったので目の付け所がよかったとおもいます。
ジョブズに関する本をいくつも出されていますが今回はあくまでフィフティ・フィフティでみています。
現実主義者(ゲイツ)VS完璧主義者(ジョブズ)と結構核心をえぐった表現をされていて読んでいておもしろかった。
iPod、iPhoneでアップルを見事復活させたジョブズの経営手法や、0→1のオリジナルよりも1→100の売れる商品を生み出したゲイツの戦略が紹介されております。
最近ビジョナリーカンパニーという本を読んで、トップのカリスマ性に頼る経営スタイルは一時の時を刻んで終わってしまうという指摘があり、今後アップルがどうなっていくかも見ものであります。トップがいなくなっても組織がうまく動いていくようにすること(後継者)が最後の仕事かもしれません。
ザ・マスター・キー
読みやすいかどうか、というのはまったく別です。
(その時代、ハアネルが読みやすさを意図して、大衆向きに書いたとはまったく思いません)
内容の深さというのは、アトキンソンとハアネルにあります。
アトキンソンの「透徹している静かさと」、ハアネルの「理論的思考」というべきでしょうか。金儲けとか成功したい人たちのもつ「心のざわめき」はここにはありません。
とても静かです。
著者たちの内面の心の持つ静けさが、文章と行間にあらわれていると思います。
この静けさが、本当の魅力だと思いました。