管理される心―感情が商品になるとき
19世紀の工場労働者は「肉体」を酷使されたが、現在の労働者は「心」を酷使されている。小売り業、サービス業、あるいはメーカーの営業職等対人的職業に就いている人は、すべてとは言わないが、多かれ少なかれお客に「心」を売っていることを自覚しているだろう。
そうした職種や職務が要求する感情について洞察し、「感情を管理する」ことを理論化した研究書だ。
学術書なのでやや難解な表現が見受けられるが、扱っているテーマはビジネスの現場において実に示唆に富んでいる。
障害学への招待
内容的には、あえてコメントするほどのものではない。ただ、過去の時代に生きた人々の言説の取り扱いについての基本的な考え方に違和感があるので、記載しておこう。
P134
ヒポクラテスのこうした冷淡さは、しかし、その科学的思考の代償である。・・・ヒポクラテスにとって、治癒の見込みのないことが判明している患者に、にもかかわらずかかわりをもち続けることは、呪術師や祈祷師のふるまいと同様に非科学的で、詐欺まがいの行為として映ったのである。
先ずヒポクラテスは、今から2千年前の人間であり、その言説が一見科学的に見える思考も、近代的な科学概念とはほど遠い地点にいることを前提としなければならない。さらに、当時の医術とは、現代の生物学的医学とは異なり、また術としての水準であった。不治の病にかかった人間に、効果のない治療を施すことの無意味さを知り得たからこそ、無益な手段を使用しなかったと私は考えている。過去の人間の言行を批判する時には、その人間が生きていた時代を考慮してこそ、批判となるのであり、それを単純に現代と比較することなど、科学的思考とは無縁である。冷淡さとは逆の温情ある考えと思料する。
葛西純プロデュース興行~Blood X'mas 2011~ [DVD]
この興行は生観戦しました。個人的にはMASADA選手目当て。集客は昼間のアイスリボンより少なくて寂しい入りでしたが内容的にはかなり良い大会でした。
最近のMASADA選手は良く言えば円熟の境地、悪く言えば丸くなって物足りない印象が有ったのですが・・。
今回は竹田誠志選手というこれ以上ない相手を迎え完全にリミッター解除、狂気全開の壮絶な試合をやってくれました。
彼の動きは一見すると雑で手加減無しのように見えますがよく見ると相手に致命傷を与えないように細かい所に気を配っています。しかし、パッと見た分には一切、遠慮や配慮が全く無いように見えるのが彼の凄い所です。
プロレスを観ているとプロレスが好きな人間でも興醒めする瞬間が有るのですが彼の試合でそう感じる事は稀です。ここ数年の試合では殆ど無いと言っていいかもしれません。
自分にとって彼の試合を見る事は良質なホラー映画を観る事に等しいです。フルパワーでトラッシュ缶やキーボードを叩き付ける時、竹串を脳天に口の中に無造作に突き立てる時、「悪魔のいけにえ」の中でレザーフェイスが捕え
た男性を牛肉を掛ける鉄のフックに無造作に引っ掛けるシーンが脳裏に蘇るのです。・・・・長々とMASADA選手の事を書いてしまいましたがこの大会の主役である葛西純選手の試合も凄かったです。
昼のアイスでは「サンタさん」に合わせてオタ芸的なダンスを披露して笑いをとり、一転して夜のプロデュース興行では最大落差のバルコニーダイブを繰り出し極限のデスマッチで観る人の度肝を抜く。
こんな事、世界広しと言えど葛西選手以外のレスラーには出来ません。締めのマイクで夏のトーナメントで優勝出来なかったら引退する発言(しかも撤回無しと念押し)も飛び出したが・・・。今は奇跡が起きる事を信じるのみです。
このDVDの収録時間は約112分。サムライTVの放送から入場シーンをカットした内容でした。
地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン [DVD]
売れない漫画家は、サークルのコネから「世界子供ランド」の仕事にありついた。だがその上層部はとんだ喰わせ者で、とてつもない謀略を企ていた。
漫画家は仲間達と共に、ゴジラ&アンギラスと力を合わせて恐るべき謀略に挑んでいく。
1972年度のゴジラ映画だが、この頃は映画界の低迷で低予算に苦悩した時期だった。そのため、特撮(と一部の本編{なんと福田 純監督の『野獣都市』が!})のフィルムが流用されている。また伊福部 昭氏の音楽も一般映画も含めて、かなりの曲が転用されている。
だが、どれらも福田監督らの地道な努力によりムリなく統一されている。
キャストも、石川 博氏等の若手が中心になっている。それ以外にも、高島 稔氏・西沢利明氏・村井国夫氏・清水 元氏・草川直也氏・大前 亘氏等の特撮ものに縁深い面々が多い。
また唯一の『ゴジラ』シリーズ・出演作になった菱見百合子氏も、『ウルトラセブン』のアンヌ隊員ばりの行動派のヒロインを演じている。またゴジラとの夢の競演も、当時の子供達には魅力的だったろう。
オーコメには、樋口真嗣監督が参加している。ガイガンの魅力のみならず、本編のツッコミどころ満載の口調と話題には抱腹絶倒だろう。
征服攻略ものでも捨てがたい味のある展開をみせた、小品な佳作。
制作時の苦悩を噛みしめながら、観てほしいものだ。