IL VENTO E LE ROSE ~愛するということ~ [DVD]
正直、役者の3流っぷり・カメラワークの安っぽさ、抽象的的な場面のツギハギ感等、すごく昼ドラっぽい感じがするのだけれど。
個人的には叶恭子という人は好きだし、彼女の魅力は「『自分』を持っていること」それに尽きると思う。
冷静に見て「あれは整形だろう」とか「すっぴんヤバイだろう」とか思うけれども、それでも彼女が魅力的に見えるのは「それが何か?」とも言いたげなあの独自性と自信。
この映画もまさにそんな感じで、「それが何か?」なのだ。
違和感があろうが、安っぽかろうが、叶恭子の表現したいことは充分に伝わった。
「自分の選択に責任を持ちなさい。責任を持ちたくないからといって他人に迎合するのは弱虫。」
日本人には、特に女性には足りない資質であると思う。
それから、全体的には安っぽくても、ベッドシーンはゴージャスだった。
AVではなかなかお目にかかれない、雰囲気あるベッドシーン。
最近、アメリカのドラマなんかを観ていると性に対する姿勢が日本人ってすごく特殊なんだなあと思う。
うしろめたいもの、と考えて隠したがるのって珍しいほうかもしれない
なんで隠すのかしら、と思いつつ、でも「カモーン」といわれると萎える男子の心情もよく分かるから困る。
ところでタイトルのカタカナ読み、これで合ってるの?
愛するということ
素晴らしい対象に出会いさえすれば自然と愛が生まれ、永遠にその人を大切に思い、心変わりなどしないはずと信じている人は多い。
しかし著者は「愛するには技術と鍛錬が必要」という。
それはあたかも絵の練習のようだ。普段から描いていなければ、素晴らしい対象物を見つけても上手く書くことなどできるはずがない。
このことは私もなんとなく感じていたことだが、ここまですっきりと解説された書物を初めて読んで、確信を得た感じがした。
「正しく愛する」とは、相手に対する「配慮・責任・理解・尊敬」を持つこと。
成熟していない人間にはできないことだ。どうしても恋人に母性愛や父性愛を求めてしまうから。
恋人を子どものように愛したがる人も中にはいて、未熟な人とそういうどこか病んだ人とは上手くいくこともある。
それでいいと思っている人とは一生縁がないのだろう、私はそういう不健康な関係は幸せでもロマンティックでもないと思う。
真の大人は母性愛も父性愛も求めない。
母は何をしても許してくれるもの、父は悪いことをしたら叱り、よくできたら褒めるもの。
その両方を自分にしてあげられるようになったとき、人は大人になったといえる。
私は最近やっと大人になれた感じがする。
つまり正しく愛するためのスタートラインに立てたことになる。
さて、恋人や好きな人がとてもそんな段階に達していなかった場合、どうするべきかはこの本には書いていない。
ただ相手の欲しがる母性愛や父性愛を与えてあげたところで彼らは大人にはならないし、「私は親じゃないから」と宣言してもやはり、大人にはならない。
著者は言う。
愛するには技術が必要だけれども、技術onlyではないから、対象が誰でもいいわけではもちろんない。
自分で好きだと思う人を選ぶことと、その人を正しく愛そうと心がけることの両方が大事だと。
自発的に成長するのを信じて気長に待つか、あるいはさっさと次を探すか。
さて、「読みやすいようになるべく平易な文章をこころがけた」と冒頭にあるが、読みやすいのは第一章のみのように思う。
ただ分かるところのみ斜め読みでもためになる本ではある。
訳は違和感なくてとてもよかった。
愛するということ (幻冬舎文庫)
主人公マヤは、野呂との関係が永遠に続くかのように思っていた。
しかし現実は、愛する男が他の女を愛してしまい、そこから生まれた苦しみに立ち直りゆく姿を描いている。
現実をわかっていながらも受け止められず、毎日苦悩する日々。回想する日々。。。
なんだか、わたしも同じような思いをしたことがあり、とても切ない気持ちが伝わってきました。
そして、決して自分の過ごした日々を否定しなかったマヤに、とても感銘を受けました。文中の表現を使うならば、鉛筆で描いたものを、無理矢理にでも消しゴムで消そうとしないこと。
事実は事実と認め、後悔などせず、別れてもなお、彼のことを思いやり過ごそうとする様子に、感銘を受けずにはいられませんでした。
この本は、少し恋愛観を変えてくれたような気がしました。
彼に優しくなりたい、彼を大切にしたい。彼に会いたい。。。そんな思いを感じさせてくれる1冊です。
イル・ベント・エ・レ・ローゼ 愛するということ オリジナル・サウンドトラック
映画本編は「女性向けAV」みたいな作品でしたが、このサントラは映画本編を観ていない人でも楽しめるほど完成度が高いです。書上奈朋子が書いたクラシックを基調とした音楽は、教会音楽風、ラテン調、アコースティック、ピアノ、エリック・サティ『グノシェンヌ NO.1』『ジムノペディ NO.2』、ポップス、ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』、プッチーニ『ある晴れた日に』を日本語詞で歌った曲、トランス、バラードと多彩で、一曲一曲の完成度が高い。書上奈朋子の歌が、歌唱力なのか声量なのか歌い込み不足なのかは分からないが、迫力が無いように感じた。5曲目『la rosa』は恥ずかしいし。