夜叉ヶ池 [DVD]
大好きな役者さん目当てで観に行った舞台。
あ、原作ファンでもありましたけどね。
満員盛況でかーなーり遠くから観て涙した記憶があります。
面白いのは村人と妖怪が一人二役なこと。
村人も妖怪も同じメークに衣装。
その所為でメイン4人と丹波さん、遠藤さん以外は少しわかりづらい。
何故二役なのかは、ラストでわかると思います。
三池さんの「IZO」と同じ時期の舞台。
一緒に視聴してみると面白いことがわかります。
二つとも「輪廻転生」の物語なんですね。
カメラワークにもう少し気をつけて欲しかったな〜。
劇場で観た臨調感が薄くなってしまった。
しかし、丹波さんを舞台で観る時が来るとは思いませんでした。
それだけでも貴重な映像です。
とってもお茶目な方でした。
あと白雪姫=松雪さんはハードでグレイトな燃えるお姫様でした。
あまたの妖怪野郎(婆も椿さんも野郎です!)をぶん投げるような迫力。
ああ、恋する乙女はこうでなくっちゃ!!
一般に思われているような夜叉が池ではなく、
結構ダークでハードでバイオレンスな印象のお芝居です。
夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)
女は強しw
妖怪は強しw
約定を違え理不尽で自己中な人間共を圧倒的な力でお仕置きする。
この爽快感。
命の為に恋は捨てない!!この潔さ!!
こんな恋をしてみたいものである。
さて夜叉が池のお雪さん、両親は龍神と言いながら晃の話では
日照りの生贄の乙女であったりする、この謎の存在。
記憶が自己修整されているのか?
天守物語のお富さんは遠く離れた夜叉が池のお雪さんと友達みたいだしw
不思議とリンクしている幻想戯曲。
謎が謎を呼びます。
高野聖 (集英社文庫)
聖性と恐怖とエロス、そしてイニシエーション。これらはホラー小説の定番であるが、「高野聖」にはそれらが見事に揃っている。
深山の奥に住む謎の美女と若い僧のストーリーは、その設定の見事さにより、読者の好奇心を刺激する。怖いものみたさを喚起する。
いかにも怪しいシチュエーションは、「これは事件が起こる」と予感させ、それは性的な誘惑を伴うはずであると確信しながら、ページをめくる。
泉鏡花は傑出したストーリーテラーである。
読者は「この女は怪しい」と感じながら、一方で惹かれていくのである。
エンターテイメントとしての完成度は相当なものだと思う。
日本文学最高の幻想小説です。
外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)
最初にこの作品の存在を知ったのは実は映画の宣伝でした。
それまでは「泉鏡花」という作家の作品を読もうと思ったことも無かったのです。
映画のキャッチコピーが頭にずっと残っていて、気になってしょうがなかったのです。それは「ねむり薬は、うわごとを言うと申すから、私はそれがこわくってなりません」だったと思います。
この作品は、辻褄だとか現実感だとかそんなものは一切考慮せずに、その場の(外科室内の)情景の美しさを堪能していただきたいのです。
わたしはなんといってもこの「外科室」が好きですが、「夜行巡査」「琵琶伝」「海城発電」も心に響きました。
男女の愛は美しいものですが、偲ぶ愛はさらに美しく、ついには破滅へと導くような愛はさらにさらに美しい。成就しないからこその美なのです。
映画は、後からビデオで見ました。私はたいへん良かったと思います。余計なシーンもありましたが、ほぼ原作に忠実に作ってありました。
ただ、難をいうなら貴船伯爵夫人はミスキャストだったように思います。高峰外科部長は非常によかったですけれども。
リクツに合わない話は我慢ならない、という方にはこの本をおすすめしません。
ただ、美を堪能したい方はぜひ読んでみてください。