バッハ:管弦楽組曲
通常、管弦楽組曲は2枚組ですが、この演奏は1枚に収まっています。
演奏時間が短いのは、別に猛スピードで演奏しているからではなく、全体の大半を占める冒頭の序曲の、繰り返し指示を省いているからです。
むしろ従来の古楽器による演奏より、テンポはゆったりしています。
有名な「エール」(いわゆるG線上のアリア)などは少しロマンチックに過ぎるかもしれないくらいです。
録音も90年代で良質です。
古楽器演奏が苦手な方にも聴きやすい演奏だと思います。
ハイドン:疾風怒濤期の交響曲集
ハイドンの107つの交響曲には短調作品が11ありますが、そのうち6つが1766年から73年の時期に集中しています(いわゆる芸術・文化の潮流としての「疾風怒涛期」に数年先立ちますが、その特徴をハイドンがいわば先取りしているような作品群が生み出された時期としてこの時期の作品を「疾風怒涛期の交響曲」と呼びます)。そのうちの3曲をカップリングしたのがこのディスクです。
モーツァルトの作品で、例えばディヴェルティメント ニ長調(モーツァルト:ディヴェルティメント集)のように、極めて斬新で時に過激とも思える表現をするコープマンですが、このCDではむしろ衒いのない真摯な表現に徹しています。その結果、この時期のハイドンの心の奥の変化を示すといわれる短調作品の悲しみがより引き立てられています。特に、第44番ホ短調《哀悼》の第3楽章アダージョはハイドンが生前、自らの葬儀での演奏を希望したほど作者本人のお気に入りであったということですが、それが良く分かる高貴で静けさの溢れる名演となっています。単発のディスクでこの時期のまとまった演奏を聞くことのできるものが少ない中で、貴重な一枚だと思います。
トン・コープマン・プレイズ・バッハ [DVD]
バッハ没後250年記念の2000年に録画されたDVD。前半はオルガン曲、後半は「アンナ・マグダレーナのための音楽帳」や「シェメッリ歌曲集」収録の歌曲や小型オルガン、チェンバロのための作品などが演奏されている。
前半のオルガン曲ではドイツ・フライベルクの聖マリエン大聖堂のオルガンが使用されている。コープマンの演奏は往年の切れ味に円熟味が加わってすばらしく、音質も良好で映像も美しい。演奏するコープマンの手や足もよく撮られているので、実際に演奏される方には参考になるかも知れない。不満な点は、BWV565がトッカータだけしか演奏されてないところだ。この曲はやはり続いてフーガがないとどうも中途半端な印象がある。
後半はバリトンのメルテンスが主役である。コープマン指揮のバッハ・カンタータ全集でも不動のレギュラーを勤めているメルテンスは、さすがに伴奏するコープマンとの息もピッタリと合った、安定感のある名唱を惜しげもなく披露している。そのやさしく温かみのある声の持ち主は、風貌も声同様にやさしそうなおじさんである。「パイプの歌(BWV515a)」ではバロック時代のパイプを手でいじくりながら歌っているのがユーモラスだ。
バッハファンなら買って損なしの1枚である。
バッハ:カンタータ集 全6曲 [DVD]
コープマン指揮アムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団の演奏によるバッハのカンタータ6曲を収録したDVDで、オランダ・ユトレヒトのピータース教会ほかで1997年頃に録画されたものです。
収録曲は第106、131、140、147、211、56番で、初期から後期、ソロ・カンタータや世俗カンタータも含む、バラエティに富んだ選曲です。バッハのカンタータを初めて聴くという初心者の方からマニアまで、幅広く楽しめる内容となっています。
各曲とも始めにコープマンによる解説が収録されていて、時にはチェンバロを弾きながらの彼独特の畳み掛けるような口調の解説には思わず引き込まれてしまいます。演奏もCDの全集同様に、親しみやすくまろやかな味わいのあるすばらしい出来です。「コーヒー・カンタータ」ではカジュアルな衣装でちょっとした演技もしていて楽しめます。
ソロ歌手はボンゲルス、ラーション、グリム(ソプラノ)、マグヌス(アルト)、オディニウス(テノール)、メルテンス(バス)の計6名が参加しています。CDの全集にも参加しているメンバーなので、違和感なくコープマンの演奏と調和した歌唱を聴かせてくれます。特にメルテンスが第56番のソロだけでなく、全6曲にわたって安定感抜群の大活躍ぶりです。
約10年前の録画ですが画質・音質とも良好で、美しい教会内での演奏場面と古楽器や合唱の響きを存分に楽しめます。バッハファンにはぜひおすすめしたい、魅力的な「見る」カンタータのDVDです。
不満な点は第147番だけコープマンの解説がないことと、日本語の歌詞対訳が「コーヒー」以外文語訳であることです(杉山好氏の訳ではありませんが)。バッハのカンタータの魅力を多くの方々に普及するためにも、ここはぜひ口語訳でやっていただきたかったのですが・・・
ベスト・バッハ100
クラシック音楽に関しては素人の私ですが、思い切って買って良かったです。
聞いていて気分が落ち着いたり、高揚したりする曲で溢れています。
今までクラシックを敷居の高い音楽だと感じていて敬遠していたのですが、
このCD購入を機にもっと色々聞いてみようと思います。