ブルーグラス・レジェンド / アール・スクラッグス with ボブ・ディラン、ザ・バーズ、ジョーン・バエズ [DVD]
アールののびのびしたプレイが堪能できるDVDです。
また、ジョーンバエズがディランの物まねで歌うIt ain't me babe. もおすすめです。
クラレンス・ホワイト(バーズ)のストリングベンダーによる演奏が見られるのもクラレンスファンにはたまりません。
但し、同名のCDに付属したボーナスDVDと同じものですので、CDを持っている人は間違って買わないように注意しましょう。
ジョーン・バエズ
BaezがLiveで70年代のDylanの曲をカバーしている本作は安価で入手しやすく(2006年5月1日現在)、お得な1枚です。Lily, Rosemary and The Jack of Heartsが素晴しい。
Best of
吹奏楽の曲で「ローザのための楽章」をアナリーゼするために購入しました。ただ、演奏した後で購入したので、これをふまえて演奏することはないかも知れませんが、気になったものですから購入してみました。
ローザとはアメリカのローザ・パークスのこと。バスボイコット事件に端を発して、後に人種差別廃絶のために尽力され、2006年だったか、90数歳で亡くなった方です。「ローザのための楽章」のコーダの部分にwe shall overcomeの一節が引用されています。「ローザのための楽章」のいい演奏を聴くと内から込み上げてくるものがあります。
現在の社会では人種差別は無くなり、ローザ・パークスの勝利であると認識されているかと思います。しかし、「ローザのための楽章」終局部分は非常に不安な印象を残して終わります。この謎を解く鍵が、ジョーンバエズが実際に歌ったwe shall overcomeのライブ盤にあると思い購入したのです。
一般に日本の歌声などで we shall overcomeをうたう時には、どちらかと言うと歌いあげるように歌っていたかと思います。overcomeが完了したようにです。しかし、「ローザのための楽章」を作曲したキャンプハウスは、まだ地球上のあらゆる差別は無くなったわけではない、ましてや血で血を洗う戦争も絶えない、そういう意味での人類が真にhomo sapiensになる闘いはまだ続く、と言わんばかりの終曲であると思いました。
そういうことを想像するのに十分なジョーンバエズのライブ盤です。もちろん私の感じ方は私だけのものかも知れませんが、今度演奏することがあるとすれば、ローザ、ジョーンバエズ、キャンプハウス、そして作曲された時代背景も顧慮しながら「ローザのための楽章」を演奏できるのではないかなと思いました。なお、we shall overcomeはピート・シガーの作曲です。ピート・シガーと言えば、「花はどこへ行った」ですね。これはテレビでも放映されましたが、「静かなドン」のショーロホフに源流があるようです。この曲もお勧めですね。
ニューポート・フォーク・フェスティバル 1963~1965 [DVD]
以前、同じ監督の「ニューポート・フォーク・フェスティバル」のDVDを購入した時、PP&M等もよいがやはりディランの演奏に心惹かれ、折角の演奏場面が断片的に映画の要素として使われていたことを惜しく思ったものだが、ここに同フェスでのディランの演奏だけ(全演奏ではないが)を集めたDVDを入手できて夢のようだ。イントロのオール・アイ・リアリー・ウォントを除くとどれもフル・レングス・パフォーマンス。63年からは第3次世界大戦を語るブルース、しがない歩兵等のプロテスト・ソングを主に6曲。ステージにジョーン・バエズ、PP&M等をあげて風に吹かれてを歌う場面はディランのフォーク時代の頂点といえよう。64年からは悲しきベイブ、ミスター・タンブリンマン等移行期の4曲。自由の鐘がこの年のベストだろう。他に少しだがジョニー・キャッシュがくよくよするなよを歌う場面やバエズによるディランの物真似瞬間芸も含まれている。65年の6曲が本作のハイライト。昼間のソロ・アコースティックではラヴ・マイナス・ゼロに感激。そして歴史に刻まれた夜の部へ。ディランがエレキ・ギターを手にバンドで演奏するマギーズ・ファームとライク・ア・ローリング・ストーン、ステージに呼び返されたディランがアコギとハーモニカだけで演奏するイッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー等2曲は圧巻。伝説のブーイングはどの程度だったのか、最後の曲でディランの頬をつたうのは涙かは実際に本作で確かめて下さい。こうしてディランは同フェスを卒業する。
余裕がある人は「ニューポート・フォーク・フェスティバル」で時代背景、同フェスの意義・全体像を掴んでおくことを薦める。ディラン関係の作品ラッシュであるが、次はいよいよケイト・ブランシェット等6人がディランを演じる伝記映画とサントラ盤。楽しみはまだまだ尽きない。