風に鳴る笛 岡山大学グリークラブ 第52回定期演奏会 [コーラスライブラリー]
木下牧子の「うたよ」と高嶋みどりの「風に鳴る笛」が収録されている一枚。
なかなか音源化されていない2曲を聴くことができるという意味では価値のあるCDであろう。
だが、演奏はお世辞にもよいとは言えないのが、大変残念だ。
伴奏は及第点だと思うので、ピアノの演奏を聞く、という楽しみ方もあるのではないか。
これから上記の2曲を演奏される方は、この演奏と自分達の演奏を対比するのに使うのがよいように思う。
と、ここまでは酷評になってしまったが、この2曲を演奏会で聞く機会も減っていることを考えれば、貴重な一枚だということは変わらないと思う。
音源化に感謝したい。
神様のカルテ
医者の主人公の一人称によって進行する本作。主人公が夏目漱石をこよなく愛するため、その口調はやや古めかしい。が、なんとなく許せてしまう魅力がある。また主人公の周囲の人間はどれもいい意味で曲者。しかも主人公は心の中で周囲の人間を自分で付けたあだ名で呼んでいるのだけれど、そのあだ名の発想がまた面白い。
しかしストーリー面では医者のドキュメンタリーを感動ドラマ風に仕立てたという印象が強く、折角の設定が生かしきれていないところが。収録されている3話のうちの「門出の桜」はまだ良かったのですが。奥付の作者のプロフィールによると、実際に医療現場に立つ人間とあるので致し方ないかなと。
医療現場の問題も触れるもの、特別ふみこむわけではない。あくまで主人公の多忙の背景として描かれている。なので特別読み込まないといけないとか、ある程度の理解や知識が必要というわけではない。むしろ、非常に読みやすい作品。
(しかし、その読みやすさで文章の意味を上滑りしたのか、それとも読解不足なのか、タイトルである「神様のカルテ」という言葉は一体この作品にとってどういう意味を持つのか分からなかった)
人の優しさに触れたい、そんな時に読むことをオススメします。
世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生
・著者は50年間、不機嫌な人間だったがそこから変われたようだ。著者の鋭い仮説とシャープな結論が気持ちよかったです。
・1.お金持ちは幸せか?
著者は、「アメリカ、日本、フランスなど先進国はこの50年で購買力が倍以上になったが全般的な生活に対する満足感は少しも変化していない」と。必要な生活できる収入と購買力が得られた後は富が増えても幸福は増えない。幸福感を決めるのは、お金をどのくらい大切なものと考えるか、という価値観であると。
・2.強みを生かせば幸せになれる
よく言われることですが、「弱みを克服することに人生を費やすのは間違いだ。むしろ、人生最大の成功と真の満足感(本当の幸せ)は強みを伸ばした時に現れる」と。
・3.過去が未来の幸福を決めるのか?
もう、この仮説設定の文言で、目から鱗が落ちました。「そんなもんで決まるわけ無いよね!」という激励を感じました。
でも、これまでの心理学(ex.フロイト派)のマジョリティーは「そう、過去が決めるのさ」でしたよね。私もこれにはずっと懐疑的だったんです。日常語にもなってしまった”トラウマ”ってやつですね。
ところが、実際の調査結果を見ると別の見方ができると。11歳になる前に母親と死別した子どもは、鬱病になる確率が若干高いのだが、女児に限るとそのリスクはごく稀だと。むしろ、「幼児期の経験が現在の不幸の原因だと思いこんだり、そのために未来に対して臆病になったりすれば人生をむだにすることになる。」と。
全くその通りだと思います! フロイトの流れを汲む古くさい心理学者はある種の偏った価値観をまき散らさないように気をつけて欲しい、とも思いました。
・4.幸福は本当に増やせるのか?
様々な調査の結果、結論はNoだと。遺伝によって”幸福感の維持され度合い”は決定されているようだと。 などなど。
叙情歌100選
CD4枚、全100曲で3,800円はけっこうお買い得だと思います。
このタイプの作品集は、女性ソプラノや少年少女合唱団による歌唱のものが多いですが、本作品は男声テノールや合唱団(グリークラブ)によるものもあり、いろいろなタイプの歌唱が楽しめます。
楽器演奏だけの曲(インストゥルメンタル)もいくつかあり、買った当初はどうかと思いましたが、聴いてみるとこちらもなかなか良いものです。
いまひとつの点としては、楽曲が全て単純に五十音順に収録されていることです。CD毎に聴いた場合、これといって曲順に面白味が感じられないかもしれません。私はMP3プレイヤーに収録して季節毎のプレイリストを作成して聴いています。そうすると季節感が出てとても良いです。