マエストロ [DVD]
内容的には、クラシック界の(特に、バイオリン界の)楽器に対する演奏家から見ての評価とか価値の危うさが垣間見れる作品であり、非常に面白い作品であると言えます。特にバイオリンなどの不可解な価値の根幹にあるのは、楽器演奏者自身の盲目的とも言える信仰心であり、また、演奏そのものより、楽器や奏者のネームバリューが物をいってるという、クラシック界の暗部を表現してます。のだめカンタービレがクラシック界の表と明るさを表すものとしたら、マエストロは裏と深層を表す作品といって良いでしょう。伊藤裕子の冷徹なまでの現実を見据えた演技と観月ありさの一流とはいえない演奏家としての葛藤がよく表されており、出来のいい作品といえます。クラシック界の奥底をのぞかせた、最初の作品ではないでしょうか?
クラシックが好きな方、嫌いな方、必見のDVDです。
コミュニティ (集英社文庫)
収入減に伴い、さびれた団地に引っ越してきた
主人公夫婦。
そこには住人たちの度が過ぎる人間関係が存在していた。
最初はキャリアウーマンとしてのキャリアに固執していた妻が、
いつのまにか家族同様の人間関係にすっかりなじんで
生活していく過程は詳しくは述べられていませんが、
頭脳で勝負していた人間が、本能に身をゆだねる人間に
そう簡単に変われるものかな〜と疑問に思いました。
でも、そんな住宅がもし存在したら、ちょっと気持ち悪いかも・・・
聖域 (集英社文庫)
二年前妊娠中に出会い衝撃を受けた篠田節子。図書館を利用してどんどん読みましたが中でもこの「聖域」は引き込まれるようにして読みました。 「聖域」という作品の中にもう一つ小説が出てきます。 この小説に惹きつけられた主人公が作者を探す旅に出るお話ですが、その小説が面白く全て読みたくなってしまうような出来映え。いつも身体を削るようにして書いているだろう篠田節子のこれは、もっとも身体を削った作品では・・・。と当時思った作品。