藤子・F・不二雄大全集 21エモン 1
世の中には不遇の名作というものがあるものだ。
その内容の質から本来ならば高い評価を得るべき作品が、発表当時の時勢の風の吹き具合でそれに
見合った評価を得ることができずに消え去っていってしまう……この『21エモン』もそういった不
遇の名作のひとつであると思う。
物語の舞台は宇宙旅行が日常的になった未来、地球は姿形も習慣も様々な宇宙人たちがひっきりなし
に訪れる一大観光惑星になっていた。「トウキョウ・シティー」に居を構えるホテル「つづれ屋」は江
戸時代から450年にわたって続く老舗だが、歴史が長いというだけでまるで流行らず訪れる客はサッ
パリ、隣接する豪華なホテル等に圧倒されて潰れる寸前であった。
二十代目の現当主20エモンはどうにか客を呼び込もうと必死になるが、その跡取り息子の21エモン
はホテル経営に関心を持とうとせず、宇宙にあこがれパイロットになって大宇宙を冒険したいという夢を
持っていた。家業に専念して欲しい父親に叱咤されて21エモンはしぶしぶボーイとして働くが、せっせ
とお客から貰うチップを貯めていつかは自分のロケットを買って宇宙に出たいという夢をあたため続ける。
「つづれ屋」に居候するおしゃべりな宇宙生物のモンガー、スクラップ寸前のところを買い取られてボーイ
として働かされている田舎くさいイモ掘りロボットのゴンスケを始めとする家人たち、さらには宇宙から押
しかけてくる奇妙奇天烈な宇宙人の観光客も加わって、毎回毎回「つづれ屋」は珍騒動に揺さぶられること
になる。
「必死で宇宙人の観光客を呼び込もうとする、潰れかかったおんぼろホテル」という舞台設定もユニークなら
、そこに登場するキャラクターたちも抜群にユニークだ。これら魅力的な舞台を背景に魅力的なキャラクター
たちがテンポの良いコマ割りの上でやや間の抜けたセリフをかけ合い、とぼけた感じのコメディーが進行して
ゆく。キャラクターのデザインやそれを描く絵柄も作風に合っていて、その魅力をうまく引き立てている(個
人的には藤子・F・不二雄の絵はこの頃の絵が最ものびのびしていて好き)。
基本的に「つづれ屋」が舞台になるコメディーだが、シリーズを通して21エモンは3回宇宙旅行に行くこ
とになる。働いても働いてもむくわれないみじめなおんぼろホテルのビンボー話も楽しいが、奇々怪々な惑星
を次々に訪れて様々な騒動に巻き込まれるこれらの冒険譚も実におもしろい。
本作は1967年に連載が始まったが、リアル指向だった当時の漫画界の風潮に合わず、たいした人気を得
ることなく1年ちょっとで終了してしまった。しかしその後ジワジワと見直されるようになり、現在では知る
人ぞ知るSFコメディーの名作として再評価がなされている。
とはいうものの、一般的な知名度は残念ながらまるで0に等しい。国民的名作『ドラえもん』と名前が似てい
るからか、影が薄くなってしまいスポットライトを浴びる機会が少ないのが残念である。
今度『藤子・F・不二雄大全集』で発刊されるのをきっかけにして、この不遇の作品のおもしろさが少しでも
世に広まってくれることを祈っておりますです。
ELECOM USB扇風機/台座型/無段階風量調整機能付き FAN-U17WH
職場のデスクで利用しています。
なぜなら、冷暖房の電源がONしないからです。狭い部屋にはPC周辺機器が十数台鎮座しているにも拘らず・・・
予想外に快適です。おもちゃのようですが、風力も調節でき角度の変更も可能です。
風力マックスにした時の【がんばり音】が多少気になりますが、価格にしては◎ではないでしょうか?
ドラえもん (21) (てんとう虫コミックス)
夢あるれるファンタジーアニメドラえもん。ふしぎな道具とゆかいなお話で日本中に笑顔を与え続けたこのアニメほど有名な漫画はないでしょう。未来の国からきた猫がたロボットというSF性、夢を与えてくれる道具の数々、情けないけどにくめないのび太君とそれぞれキャラクターが愛らしいお友達、その魅力を挙げるととてもきりがありません。そんなドラえもんの本作で私が一番お気に入りのストーリーは「第4話/多目的おまもりは責任感が強い 」です。テレビアニメも映画も面白いですが、やっぱり表情豊かな原作が一番だと思います。
天切り松 闇がたり 1 闇の花道 (集英社文庫)
男性にも、女性にも、是非読んでもらいたい粋な物語。
物事、筋が通ってる。ただそれだけで、素晴らしい。羨ましい生き方。
ある意味、禅問答のようなものなのだ、この話。
今の時代になかなか見つけにくい人情を感じることができます。
忘れちゃいけない心粋というものがあるのだな、と。
全編の内容もホントにすばらしいけど、
物語の奥に活字には表してない事情を連想させる手法にも見事にハマります。
それを思うだけでも目頭が熱くなります。
ラーメン屋で読んでいたオイラは鼻水すすってんだか、
ラーメンすすってんだか解らなくなりましたよ。
さらに私的見解ですが「衣紋坂から」の松が語る最後のシーン
浅田次郎さんの洒落がきいています。これは見事にやられたなぁ。
ぐいぐい引き込まれる天切り松の闇がたり、実際に聞いてみたいもんです。