イスラメイ - 100年の時を経て甦る、ピアノの黄金時代
今やYouTubeのピアノ演奏のアクセス数が、100万に達するという彩サン。その鮮やかな個性故に、あえてコンクールに出ずに、ハンガリー、ニューヨーク、東京でピアニストとしてのキャリアを重ねられ、満を持して今月、コロンビアからメジャーデビューされました。デビューアルバムのライブレコーディングで初めて演奏をお聴きした時には、愛らしい外見からは予想もつかないパワフルなピアノに圧倒され、「ラ・カンパネラ」では身体が座席に張り付いてしまう程のパワーを感じました。あれから3年。NYCでタープマン奏法を身につけた彩サンは、エレガントかつパワフルにピアノから最高の音色を引き出すレディへと成長されました。デビューアルバムと聴き比べていただくと、より楽しめると思います。今回の録音には1912年制作のヴィンテージ・スタインウェイが使用されています。ぼくは彩サンがコンサートの時にヴィンテージでショパンを弾かれるのを実際に聴きましたが、深みのある色彩豊かな音色でした。彩サンはまだ23歳とお若いですが、人生経験豊かで今まで様々な困難を乗り越えられてきました。そして自分が困難な時でも、困っている人を見ると決して見過ごすことのできない方です。その姿勢に共感してファンになる方もたくさんいます。そんな彩サンの優しさと強さが、ピアノ演奏に豊かに反映されています。圧倒する超絶技巧の持ち主ではありますが、愛に裏打ちされています。ピアノ愛好者にも、初めての方にも、ぜひ聴いていただきたい一枚です♪
バラキレフ: イスラメイ(東洋風幻想曲)/ヘンレ社原典版
ヘンレ版のイスラメイがとても良いことに気づきました。
印刷ミスもほとんどなく、印字もきれいで、とても譜読みしやすいです。
たっぷりスペースをとってあるので、書き込みをしても見易いです。
一つ難点をあげると、途中でメロディーが切れてしまうのもお構いなしに
小節が次ページに移っているので、あらかじめ譜めくりのタイミングを考えないといけません。
中古品の半額で買いましたが、新品同様でした。びっくりです。
ムソルグスキー:展覧会の絵
キーシンが始めて日本にやってきたときは、その演奏からは
なんとなくひ弱さが感じられ、良い印象を持ちませんでした。
しかし、こんな大ピアニストに育つとは!
グリンカ作曲バラキレフ編曲の「ひばり」では、細かい音の中から
悲しいメロディーをとても美しい音で浮き立たせています。
こんなに上品で美しい演奏は、そう出来るものではありません。
このCDの目玉、「展覧会の絵」も驚くべき演奏です。
キーシンは強い音を出すときに、決して乱暴に鍵盤を
たたきません。それなのに、強い音の説得力は十分です。
音の芯が強いというか、音圧が強いというか・・・。
ピアノがどうしたらよく鳴るかを、天才的に把握しているのでしょう。
もちろん、技術も天下一品です。
キーシンは今後がとても楽しみなピアニストです。
キーシンの才能をいち早く認めたのは、カラヤンでした。
やはりカラヤンの音楽的才能の発掘眼は本物だったのです。
展覧会の絵のピアノ版のCDは持っていないという方も、
決して買って損はないCDだと思います。
ベスト・ピアノ100
「ビギナー向け」との評価が多い本コンピレーションですが、むしろ、マニアや年季の入ったクラシック・ファンにこそおすすめでしょう。「調子のよい鍛冶屋」「かっこう」「夢」など、名曲なのにあまりすすんで聴く機会の無いものが揃っているのも◎。
ただ、長尺曲の一部抜粋形式だけは何とかして欲しかった・・・。
どこかで聴いたクラシック ピアノ・ベスト101
有名なピアノ曲はほぼ網羅されているという感じです。「乙女の祈り」「エリーゼのために」「愛の夢第3番」「英雄ポロネーズ」といったピアノ名曲集と銘打ったアルバムには定番の曲は概ね入っています。
各ディスクごとの収録時間は、
1.67:55 2.72:11 3.75:07 4.80:20 5.72:51 6.77:52
であり、1枚目がやや短いものの概ね申し分ないでしょう。
録音状態も、CD購入の際の比較検討の対象となりうるEMIの「ベスト・ピアノ100」と比較すると、それ程悪くはありません。比較的最近の録音も多いですし、一部にノイズが若干気になる古い録音もありますが、全てステレオ録音です。
あと、参考のため「ベスト・ピアノ100」には収録されていないのに、これには収録されている主な曲を挙げますと、「花のワルツ」(チャイコフスキー)・「ガヴォット」(ゴセック)・「金婚式」(マリー)・「タンブラン」(ラモー)・「高雅にして感傷的なワルツ」(ラヴェル)・「即興曲第3番」(シューベルト)・「木枯らしのエチュード」(ショパン)などなどです。特に「花のワルツ」「ガヴォット」「金婚式」は珍しいピアノソロを聴くことができるので、ポイントが高いと思います。
逆に「ベスト・ピアノ100」には収録されているのに、これには収録されていない主な曲は、「かっこう」(ダカン)・「2声のインヴェンション第1番」(バッハ)・「トロイカ」(チャイコフスキー)・「黒鍵のエチュード」(ショパン)・「塔」(ドビュッシー)・「葬送行進曲」(ショパン)などなどです。
で、結論としては私はこちらをお勧めします。ブックレットの曲解説も限られた紙面の割には詳しいですし。