「ひと」として大切なこと (PHP文庫)
目まぐるしく変化し、多様化した現代社会の中で生きる私たちが見失っているもの、
それがこの本の中にあります。
大学の講義を収録したものですが、全ての年代の人に通じる内容です。
この本を読んで、できるなら私もこの講義を受けてみたいと思いました。
マカロンと金平糖 (単行本)
この本の初版は2010年5月ですが、内容は2004年著作者が二十歳の時、初めて訪れたパリの風景を主題材とした文章とイラストによる旅行記です。
イラストの評価は私には付けられませんが、印象としては淡く優しい感じで、著者は2007年よりフリーのイラストレーターとして活躍されているようです。
文章は全体に優しくやわらかな雰囲気をまとったものという印象で、初めての一人旅への不安や人の温かさなどが良く著されています。
特に使える新情報や有効な何かが得られるという作品ではありませんが、どことなく温かな気持ちになれる…そんな内容の本です。
ページ数の割には少し割高感もありますが、既に旅のプロと化してしまった人達に、ぜひ読んで思い出してほしい新鮮な気持ちの綴られた、そんな1冊です。
ノートルダムの鐘 [DVD]
公開当時、そこから多くのメッセージを受け取った記憶のある作品。今年劇団四季の55ステップスの中でも『トプシー・ターヴィー』が採り上げられており、再び観たいと思っていた。この曲目が持つ特別な意味、それは曲調の持つ明るさとは裏腹の歌詞と映像の毒々しさにある。見かけのグロテスクなカジモドを嘲笑する世間と知らなかったとはいえ彼のそうした姿を曝けださせてしまったエスメラルダの悔悟。そして彼女は本当に自分がすべき何かを彼から学び、カジモドも彼女を守ろうとする。ストーリー全体からは『レ・ミゼラブル』を想わせるヒューマニズムの持つ力強さと希望、そして何よりもどんな相手であっても差別することは決して許されない、との人間に対する尊厳を強く感じさせる。法という武器(=建前としての正義)を手にする嫉妬に狂ったフロローの姿は自らの地位と立場を悪用する人間の愚かさそのものである。それは1つの価値観を絶対視し、世界を束ねようとする行為に対する警鐘とも映る。エスメラルダとカジモドの恋は実らないが、カジモドは1人の尊厳ある人間としてパリの街で生きていくことを自らに誓い、そしてパリもそれを受け入れることを暗示させる終幕は涙無くしては観られない。未来を創る子供達には勿論、大人達にも是非観て欲しい作品である。
英語版でのトム・ハルスの表現力がすばらしいことはもちろんのこと、日本語版の吹き替えにあたった石丸幹二・保坂千寿・芥川英司・光枝明彦・今井清隆・佐川守正は今、劇団四季を離れたが彼らがこの作品で遺した足跡を消すことはできない。何れの日にか、このメンバーで舞台化されることを望む。
ノートルダム
熱心なゲームファンには知られている作品なので、敢えて、これからボードゲームを楽しみたいと思っていらっしゃる方向けに。
趣味として真剣に取り組むのに、このノートルダムはうってつけです。
まずボードが特異です。
ボードゲームと言えば、人生ゲームのように一枚の板を広げるものだという常識をふっとばします。
このボードとカード類の美しさは相当なものです。
目の前に並べるだけでゲームの価格(高価ですよね)にみあった満足を感じます。
ところが、ルールブックの厚さと難解さに気分がブルーになると思います。
実際に遊ぶ気持ちも減退するかもしれません。
しかし、ここは趣味だと諦めてください。
良い趣味は必ず苦しみを伴います。だからこそ受け取る喜びが大きい。
そして実際にゲームをはじめると、難しいと感じていたルールが実はシンプルでわかりやすいことを発見するはずです。
ボードに描かれている建物とその役割(カードで実行させます)は、すべて理にかなっています。
またカード/ボードとも言語が書かれておらず、アイコン(絵柄)で効果を現している意味も実感できます。
くりかえし遊ぶことで、勝つための戦略が一つではなく、さまざまな方法が用意されていることもわかります。
ゲームのテーマ紹介が後になりました。
中世フランス。ノートルダム寺院を中心とした街区を各プレイヤーは受け持ちます。
担当区域を発展させ、名町長として名声を獲得していくのが目的です。
名声獲得のためには、ノートルダム寺院への寄進や、有力者とのつきあいも大事です。
忙しい合間をぬい、馬車で自分以外の他地区を視察する手もあります。
そして、なにより防疫が大切。
ペスト菌を運んでくるネズミを駆除することが街区を住みやすくし、それがあなたの名声を高める最重要ポイントとなります。
このゲームを何度か遊ぶことで、今まで知らなかったボードゲームの世界が広がります。
ぜひトライしてみてください。