消防士を救え!―災害救援者のための惨事ストレス対策講座
現場の精神科医という立ち位置も堅持される兵庫県心のケアセンターの加藤寛先生による、学術的にも説得力のある解説書。しかも一般の読者にも読み易い文章で、臨床的な解説からも著者の人間愛も伝わって来る。消防士についての部分がメインだが、他の職種や立場の人達に生じる苦痛や精神科的な後遺症も平易に解説。災害に対する気持ちの混乱や悲嘆などから支援側の職員への不当な非難が生じることも多い訳だが、それを増幅する無責任な噂や、尻馬に乗って野次を飛ばすような報道の有害さなども理解できる。
心のケア――阪神・淡路大震災から東北へ (講談社現代新書)
本書には“カンタンに「ここのケアが大切」などと口にしてはいけない”ということが書いてある。
ノンフィクション作家の最相葉月氏が、東日本大震災の現場に入った精神科医の加藤寛氏に
話を聞くという形でまとめられている。
まず、被災地に入った、精神医療チームが求められたのは、日頃から精神科の投薬をうけている人たちへの
薬の配布であった。
そして、次の仕事が、被災者の話を聴くことだ、私は思っ手本を読み進めたが、加藤氏はこう云う。
「外から精神科の医者が心のケアに来ましたと言ってもちっともありがたがられないです。
精神科にかかること自体にかなり抵抗感があるので、やんわり断られるのがオチです。
他所から来た精神科医や、心理の専門職の人よりも、地域の馴染みの人のほうが力を発揮する。
心の痛手なんてそう他人に話すもんじゃない。聞きっぱなし、いいっぱなしは役に立たない」
「阪神大震災では、こころのケアセンターに60人を採用したが、8割が辞めてしまった。
学校で習ったカウンセリングなんか何の役にも立たない。保健婦さんなら血圧でも測りましょうか
と、話のきっかけを作ることもできるだろうが、心理士にはそんなことも出来ない。
自分には支援ができないとやめた人が8割」
加藤氏は現場で役に立うということに対してあくまでも誠実である。
しかし「心のケア」は、必要で、なぜ必要かもきちんと書いてある。
カウンセラーを目指す人や、メディアで簡単に「心のケア」を口にする人には、
ぜひ読んで欲しい。
らき☆すた 2 限定版 [DVD]
角川書店・月刊ゲーム雑誌コンプティーク連載/美水かがみ原作の
「らき☆すた」TVアニメ第3,4話を収録したDVD2巻です。
ゲーム、アニメ作品に精通している人ほど笑える自虐&小ネタの嵐!
角川書店&京アニ製作のため当然、「フルメタ」「涼宮ハルヒ」「コンプディーク」ネタも完備。
映像の派手さはないものの、終始ニヤニヤキレ味抜群のゆるゆる萌えアニメです。
その手の話題についてこれない人は楽しめない可能性大ですのでご注意を。
第3話「いろいろな人たち」★★★☆☆
何でも会話をゲームやアニメ要素に持っていくこなたの無駄な才能に感心。
大技は無いものの、ドラクエ5、ぱにぽに、クロマティ高校、ストEXなどネタ小技連射は
まだまだ衰えず、楽しませてくれます。しっかし受験合格のご褒美案の一つが松下の3DOとは
なかなかのお手前で。コレクション収集に命を賭けるこなたのオタクっぷり全開と
角川書店を細かくアピールし続ける点など、マニアックな内容で飽きさせません。
第4話「やる気の問題」★★★☆☆
夏の暑さにやる気無い、こなたのだらけっぷり満載です。
しかし、萌えとコスプレと夏コミにネットゲームへの情熱は微塵も劣らず、
またまた懐かしネタだらけの山盛りでお送りしています。特に自身の貧乳を
一つの萌え要素として誇る様や、しんちゃん物真似や涼宮ハルヒを視聴して辛口批評を飛ばす
ハルヒ=こなた役cv,平野綾のまさに自社批判&自己啓発(?)ネタがナイスです。
映像特典は「白石みのるの冒険エピソード01」。#13以降ではじけた
特撮の聖地・城ヶ島でのED映像収録風景を抜粋。一人海岸でノリノリのみのるんるんにご注目。
太陽
金字塔で打ち立てた中村サウンドをより大衆的に、親しみやすくした感のある音作りの2ndアルバム。
と言っても金字塔も音的には十分ポップであったが、しかしいかんせんあれは毒がある作品だった。
つまり今作はその金字塔から毒が抜かれた、単純に楽しい作品だということである。
それが災いしたのか、金字塔や次作のERAが好きだというファンにはイマイチ評判が芳しくない。
まあその「毒」が非常に的を射ているというか、共感できる部分が多々あった事も紛れもない事実であるし、実際それがこの人の魅力とされているのだ。
だから今作が芳しい評価を付けられぬのも、それは頷ける話である。それだけクリーンな音楽だと思う。
しかしそんな「毒」などなくとも、このアルバムは非常に楽しめる、エンターテイメントとして十分に機能できているだろう。
「アルバムで季節を表現する」というどこまでもありがちなコンセプトでありながらも、それがあの子供臭いサウンドに乗っかると、本当に子供がワイワイ言っているようで、そして母や先生に「見て見て!こんな凄いの作ったんだよ!」と言っているように聴こえてきて、それがまたクセになるくらい楽しいのだ。
曲も佳曲揃いだし(個人的にはダンシング・クイーン風の「生きている」が一番好きだ)、買って損はないのでは?
個性と大衆性を両立出来ているアルバムなんて、結構貴重だと思いますよ。
TPP反対の大義 (農文協ブックレット)
TPP(Trans-Pacific Partnership 環太平洋経済連携協定)と日本の農業は本当に両立しないのか。
そう思って、TPPに反対の論陣をはる本書の著者たちの意見を読んでみた。
だが、わからない、私にはどうしたらいいのかわからない。
「米だけを例外に」という意見もあるが、では、沖縄のサトウキビは米基地関連の問題も絡み、措置ぜずに大丈夫なのか。
「国民投票で決めよ」という意見があったが、どういう理由でどう賛否を決めたらいいか。私には判断が下せない。
「株式会社で農業を」という意見もあるが、利潤追求の株式会社は日本の農地を外国に売ったりしないのか。
「高付加価値の日本の農作物を輸出せよ」競争力のある農業が育つというが、ほんとうか。
論者のひとり、農民作家の山下惣一氏はこういう意味のことを言っている(レビュワー意訳)
「私は中国の金持ちのために百姓をやるつもりはない」